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ステーキの「あさくま」“おばちゃんパワー”の活用で業績Ⅴ字回復 企業動向
2012.06.26
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 東海、関東地方を中心に展開するステーキレストランチェーン「あさくま」が長らく続いた不振を脱して業績をⅤ字回復させている。
 現在のあさくまの歴史は1962年に、愛知・名古屋の割烹旅館「朝熊」から「ドライバーコーナーキッチンあさくま」への業態転換したことからスタート。ドライブインタイプの飲食店の先駆け的な存在だった。その後もモータリゼーションの波に乗り、郊外型のステーキレストランチェーンとして順調に成長し、1992年には東海、関東地方を中心に店舗数が105店に達するまでになった。しかし、バブル経済崩壊後の市況の変化への対応の失敗、BSE騒動の影響、競合店対策の遅れなどの要因が重なったため不振が続き、2007年には店舗数が30店にまで減少してしまった。
 そこで、経営の建て直しのため2006年に厨房機器販売の「テンポスバスターズ」が資本参加。2008年にはテンポスバスターズ会長の森下篤氏が社長に就任して再建の陣頭指揮を執ることになった。森下氏は再建に向けてさまざまな手を打っていったのだが、中でもユニークだったのは、あさくま既存店において“トップクラスの赤字店”であった岐阜羽島店の建て直しである。
 森下氏は2009年3月、岐阜羽島店にパートとして勤務していた“おばちゃん”3人に“女の園”をテーマにして店舗の改革を依頼。この3人の“おばちゃん”を「やまんば軍団」と命名した。             
 早速店の改革に着手したやまんば軍団は、まず手始めにトイレを化粧室として整備した。それも単に清潔にするだけでなく、花を置き、化粧品やストッキングなどのアメニティを充実させた。さらに、50台分の駐車場の周囲に、自分たちで幅30cm深さ30cmの溝を掘り、花の鉢植えを設置。窓の下には芝を貼り、テーブルには一輪挿しの花瓶を置いた。
 また、女性客を集めて「女の苑委員会」をつくり、月に一度意見交換会を開くことで女性目線の顧客の意見を吸い上げた。こうして女性客に訴えかける店づくり進めるとともに、地元の女性ならではのネットワークを活用して、ブランドロイヤリティの高い顧客の育成に成功したわけだ。
 やまんば軍団は、店の内外装や接客方法の改善だけでなくメニューづくりにも積極的に参加。メンバーのひとりで料理上手だったパートの佐藤絹子さんが考案したハンバーグを「佐藤絹子のハンバーグ」1580円として売り出したところ大ヒットメニューとなった(現在は販売終了)。
 このような取り組みが功を奏し、赤字店だった岐阜羽島店の売上げは2010年3月期~2012年3月期にかけて、前年比120%、135%、140%と飛躍的に向上。あさくま全体でも群を抜く優良店となった。
 あさくまでは、やまんば軍団の取り組みを他店に波及させたこともあり、業績はⅤ字回復。2009年3月期には経常損益が3000万円の赤字だったのが、2010年3月期は経常利益100万、2011年3月期は8800万円、2012年3月期も経常利益1億8000万円と好調をキープしている。
 こうして既存店の建て直しに成功したあさくまでは、2011年11月に茨城県牛久市に直営の新店をオープン。さらに、新業態のダイニングバー「BISTROT」を、2011年6月と2012年2月に東京都内で3店オープンしており、新たな出店攻勢に出る構えだ。

【DATA】
会社名:株式会社あさくま
住所:愛知県名古屋市天白区植田西2-1410
電話:052-800-7781
URL:http://www.asakuma.co.jp