銀しゃりとひもの炭火焼 こころむすび(新宿・代々木・大久保)
東京屈指の大繁華街である新宿からふた駅離れた東京メトロ新宿御苑駅。そこから徒歩約1分の裏路地に店を構える「銀しゃりとひもの炭火焼 こころむすび(以下、こころむすび)」は、〝コメ〟を業態づくりのテーマにした居酒屋である。
オープンは2007年1月。オーナーの石田洋司氏は開業にあたり、コメが原料の日本酒、それに合う魚介料理、さらにごはんと味噌汁をメニューの柱にしたいと考えた。そこで石田氏が魚介料理の目玉商品として目を付けたのが干物だった。
「日本酒とごはんとの相性がよいことはもちろんですが、鮮魚に比べて仕入れ値が安定していること、そして保存を含めた品質管理がしやすいことも決め手になりました」
日本酒と干物が看板商品ならば主客層は熟年層、しかも男性が主体になる。そう考えた石田氏は新宿の商圏内にあり、しかもオフィス街でもある新宿御苑に出店を決めた。
こころむすびの来店客の男女比率は7対3、主客層は30代〜50代の男性会社員。熟年男性をターゲットにした石田氏の狙いは見事に的中したわけだが、そうしたお客の3組に1組が注文するのが、島根県産の天然穴子一夜干し1200円である。
干物はこの他、干物盛り合わせ1050円や愛知県産いわし丸干し680円や関さば一夜干し1100円など14品を揃えるが、干物を除いた魚介料理は刺身8品前後、一品料理4品前後を用意。冷凍保存が利く干物を幅広く揃える一方、廃棄ロスと価格変動のリスクがある鮮魚メニューの品数を絞り込むことで、原価率は33%前後にキープしている。
“コメ”を出発点にした滋味深い業態づくり
一方でこころむすびのもうひとつの看板商品であるごはんは、福島県産のコシヒカリを羽釜で炊き上げる。銀むす1個290円や卵かけご飯420円などのごはんもの7品の注文率は50%を超えるが、ベーシックアイテムの品質を地道に磨き上げている点も、熟年層から支持を集める大きな要因といえよう。
日本酒は銘柄を固定せず、石田氏が6軒の地酒専門店より吟味した40種前後を揃えている。日本酒のみを記載したメニューを用意する他、日本酒には必ず「和み水」を添えて提供。さらに吟醸酒は香りが広がる専用グラスに注ぐといった工夫を凝らし、日本酒の楽しみ方の提案とイメージアップに努めている。
来店客の年齢層が高いこともあって、客単価は目下のところ5000円。9.7坪18席で月商300万円を売り上げるが、石田氏は今後の目標について「支店を出す計画はいまのところありませんが、店を拡張したいという思いはあります。いまの人員体制で2倍の席数までは対応できると考えています」と語る。
DATA
TEL.03-3355-3577
営業時間:11時30分〜14時(L.O.13時30分、月〜金曜)、17時30分〜23時(L.O.22時)
日曜・祝日定休
オープン:2007年1月
店舗規模:9.7坪18席
客単価:5000円
月商:300万円
原価率: 32%
アルコール売上げ比率: 40%
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