トラットリア エ ピッツェリア マザーズ(東京西部)
東京都内のJR吉祥寺駅南口から井の頭公園に向かう人通りの多い路地沿いの2階に立地する「トラットリア エ ピッツェリア マザーズ」吉祥寺店。店の前を通るフリ客と目的客をおよそ半数ずつ集客し、平日の昼は主婦、夜は30代~50代のグループやカップル、休日は買い物客や子供連れのファミリーといった幅広い客層で50坪64席の客席は連日賑わいを見せている。
経営母体は東京・立川を中心にイタリアンレストラン「マザーズ」など7店を展開する㈱MOTHERS。吉祥寺店はその6店めとして2011年8月にオープンし、開業から1年足らずで月商1500万円を売る同社トップクラスの繁盛店に成長している。
「薪窯で焼きあげる本格的なナポリピッツァを売りにした店を出店することが私の念願でした。確かな技術のあるピッツァイオーロを採用できたことに加え、レジャー目的の客層が店の前を行き来する条件のよい物件が見つかったことで、思いをようやく形にできました」と同社代表取締役の保村良豪氏は語る。
平日の夜と休日はアラカルト80品前後を主力とし、パスタやメイン料理なども豊富に取り揃えることで業態の間口を広げている。平日の昼はピッツァまたはパスタのランチセット1200円~とランチコース1800円~を提供し、客単価は昼1800円、夜3500円。昼と夜の売上げ比率は5対5で、夜のアルコール売上げ比率は約40%である。
ピッツァは定番16品と日替り1品程度を1300~2100円でラインアップし、原料の異なるモッツァレラをトッピングしたマルゲリータ3種1550円~の他、山盛りのルッコラのうえに生ハムを盛りつけたビアンカネーヴェ2080円などが売れ筋である。
ハイレベルなサービスで集客力アップ
ピッツァを調理するのは、吉祥寺店の開業にあたって新たに採用した森公宏氏。東京・豊島園にあるピッツェリアの名店「ピッツェリア・ダ・アオキ・タッポスト」で修業を積んだ若手の職人である。ピッツァを焼く薪窯はイタリア・ナポリから取り寄せ、小麦粉はイタリアのカプート社のサッコロッソをメインで使用するなど、材料も現地の食材を厳選して本場の味の再現に努めているが、その一方で空間づくりにおいて独自のスタイルを打ち出した内外装を施している。
吉祥寺店の店舗造作のテーマは「現代建築」。店内の床と天井はコンクリート張りにしてモダンな雰囲気を演出し、壁2面に多数の窓を設けることで外光をふんだんに取り込んでいる。テーブルや椅子、ソファなどの備品はアンティーク品を揃えており、店の造作と設備に費やした投資額は6000万円にのぼる。
また、同社の強みであるハイレベルなサービスも吉祥寺店の集客力を支える肝になっている。同社は「従業員一人ひとりが心のこもったおもてなしを実践すること」(保村氏)をめざしており、理念教育に力を入れている。各店ではミーティングに時間をかけてスタッフ間の意思疎通の円滑化に努めている他、毎日欠かさずサービスのロールプレイング研修を実施。接客技術の向上にも努めることで、気配りのあるおもてなしと円滑なオぺレーションを実現している。
そうした取組みによって吉祥寺店の集客が安定したことを受け、同社は12年4月にピッツェリアの2店めとして「ピッツェリア カンテラ ナポレターナ(カンテラ)」を東京・立川に開業している。
カンテラは前菜とピッツァを中心にメニューを構成しており、吉祥寺店よりカジュアルな利用動機の吸収をめざした業態である。夜の営業を主体とし、客単価は昼1000円、夜2800円を想定。店の規模は35坪58席で月商は1000万円を見込んでおり、今後はこのカンテラブランドの多店化に力を入れる方針だ。
DATA
TEL.0422-26-8050
営業時間:11時〜14時30分(L.O.)17時30分〜22時30分(L.O.)
無休
オープン:2011年8月
店舗規模:50坪64席
客単価:3500円
月商:1500万円
原価率: -
アルコール売上げ比率: -
URL: http://www.mothersgroup.jp/