ソロ ピッツァ ナポレターナ 大須本店(名古屋)
ピッツァ1枚350円という驚きの価格を実現し、行列の絶えないピッツェリアが愛知・名古屋にある。古き良き門前市の風情を残す大須に店を構える「ソロ ピッツァ ナポレターナ」大須本店がそれだ。隣接する「ピッツェリア トラットリア エ リストランテ チェザリ(チェザリ)」とともにイタリア・ナポリのメニューを打ち出し、相乗効果で高い収益を上げている。2010年にソロ ピッツァ ナポレターナ矢場店をオープンし、3店体制でピッツァを低価格で提供する仕組みを構築する。
大須本店は2012年3月に大幅な改装を行ない、同24日にリニューアルオープンした。以前は隣り合うチェザリと合わせてトラットリア、ピッツェリア、カフェバールの3業態で構成したひとつの店として営業していた。しかし、利益率が低かったカフェバール部門を廃止。ソロ ピッツァ ナポレターナを独立した店とし、トラットリアの2階に貸し切り対応のリストランテを増設。そうして全体の収益性を上げ、利用シーンの幅を広げることにも成功した。
リニューアルオープン当日は約2600人が来店し、あらためてその期待の高さを証明。その後も行列の絶える日はなく、1日に1000枚以上のピッツァを売り上げている。
ソロ ピッツァ ナポレターナの代表で経営母体である㈱チェザリの専務取締役も務める牧島昭成氏は「私自身はピッツァの価格破壊をしている意識はありません」と話す。2010年のナポリピッツァ職人世界選手権で世界一に輝いた経歴を持つ牧島氏は「ピッツァは大衆食。1枚3ユーロ、日本円にして380円は適正価格だと考えていますし、その価格で本物のナポリピッツァを提供してこそ意味があります」と話す。
経営努力で「大衆食の適正価格」を実現。
もっとも低価格である350円のナポレターナS.T.G.の他、定番のマルゲリータS.T.G.は550円、水牛のモッツァレラを使用するマルゲリータ エクストラS.T.G.でも850円と、イタリアの価格に換算すると3~8ユーロの価格帯に主力商品を揃えている。
低価格を可能にしている要因は、大量仕入れによる原価の抑制、セルフサービス導入による人件費の圧縮、オペレーション強化による提供スピードの迅速化にある。
食材は大須本店、矢場店、チェザリの3店ぶんを一括仕入れして購買費を抑制。たとえばマルゲリータに不可欠なモッツァレラは1ヵ月に2tもの量を消費する。しかも1回に仕入れた食材は3日以内に使い切るため鮮度が落ちることはない。低価格が売りだが、小麦粉やトマトソースなどの食材のグレードは下げることなく、あくまでも本場ナポリの味に倣う。その結果、ピッツァの原価率は17~31%で推移し、トータル原価率も30%以内に抑えられている。
また、セルフサービスの導入によって2フロアから成る120席の客席を6~7人のスタッフで切り回す。一方で、窯前は3~4人体制とし、生地の伸ばしとトッピングを行なうピッツァイオーロ、焼成を担当するフォルナイオなど、作業を分担してスムーズなオペレーションを確立。一度に6枚のピッツァを焼くことができる薪とガスのハイブリット式の窯の高い機能を生かし、客席回転率の向上に大きな成果を生んでいる。
「イタリア料理を掲げるようになった新生チェザリのオープンから12年、業態転換や改装を重ねるたびにピッツァの価格を下げてきました。いまのスタイルが成功しているのは、安くても本物が食べられるという店とお客さまの信頼関係が築けているからだと考えています。私の使命は価格破壊ではなく、日本に本物のナポリピッツァを取り戻す改革を起こすことだと考えています」(牧島氏)。
大須本店は現在、客単価800円、85坪120席の規模で1日最高1800人を集客し、月商1600万円を計上する。世界チャンピオンとしてピッツァ職人を積極的に養成し、業界の底上げとナポリピッツァの大衆化に情熱を注ぐ牧島氏の取組みとともに、ソロ ピッツァ ナポレターナの今後の展開に注目だ。
DATA
TEL.052-238-0372
営業時間:月~金/11時~15時(L.O.14時30分)、18時~22時30分(L.O.22時) 土日祝/11時~22時30分(L.O.22時)
水曜・第1・3火曜休
オープン:2012年3月(リニューアル)
店舗規模:85坪120席(2フロア合計)
客単価:1000円
月商:
原価率: -
アルコール売上げ比率: -
URL: http://www.solopizza.jp/