東京・田町に2010年12月にオープンした「パスターヴォラ」は、生パスタを主力商品に据えた大繁盛イタリア料理店だ。大手企業の本社ビルと一体開発された都市型マンションの１階部分に入居し、マンションの住民と会社員を主客層とする。カウンターのみ10坪12席の規模で、客席は実に昼7回転、夜3回転半する驚異的な集客力を発揮。小体な店ながら何と月商700万円を叩き出している。
「高級マンションの1階に出店し、そこに住む富裕層が第二の食卓のように日常使いできる業態をつくれば息の長い経営ができると考えました」とオーナーの大野木輝之氏は業態づくりの狙いを語る。
　昼はスパゲッティーニを使用した9品を700〜900円で提供。この他、プラス150〜450円で日替りの野菜デリ、スープ、焼きたてパン、サラダピッツァ（土日のみ）を組み合わせたセットも用意する。
　夜はパスタ16品を中心価格帯950〜1200円で提供し、生麺はスパゲッティーニ、ペンネ、フェットチーネの3タイプから選べる方式を採用する。サイドメニューはタパス17品400〜1200円をはじめ、サラダ3品400〜900円、スモールサイズのピッツァ7品700〜950円、ダッチオーブン料理4品750〜1400円をラインアップ。帰宅前の食事やちょい飲みといったクイックな利用をはじめ、ボトルワインをオーダーしたしっかりとした食事にも対応する使い勝手のよいメニュー構成を意識している。
　アルコールは生ビールとワインを主力としており、ワインの注文率は９割にのぼる。ボトルはハウスワイン赤・白各１種の他、赤・白各15種と泡2種を2500〜6000円で取り揃える。これらはすべてグラスでも提供しており、グラスの価格は600〜1200円に設定している。

近隣会社員と地元の富裕層で昼も夜も大盛況

　接客においては個々のニーズにきめ細かく対応することに注力。料理の注文を迷っているお客にはメニューにないハーフサイズを提案する他、ワインを少量お代りしたいというお客には100円ぶんだけ継ぎ足すなど柔軟なサービスを実施している。「オペレーションを極力シンプルにし、そのぶんお客さまが何を望んでいるかを察知できるように心がけています」と大野木氏は語る。こうした痒いところに手が届くサービスが常連客の心をがっちりと摑む要因になっている。
　現在は田町以外の遠方から来店するお客が増え、予約が取りにくい状況になっている。そのため今年6月から無休で営業しているが、将来的には深夜も営業する体制を整えるべく、スタッフの人員増と育成に力を注ぐ方針だ。