蔵前 結わえる(東京東部)
東京・蔵前に店を構える「蔵前結わえる(以下、結わえる)」の看板商品・寝かせ玄米は、きわめて特殊な調理方法を採る。富山県産無農薬コシヒカリの玄米に小豆を加え、圧力鍋で炊きあげると、実に3〜4日間にわたって保温し、熟成させるのだ。できあがった玄米ごはんはうるち米100%とは思えないほどモチモチした食感で、噛むほどに旨みが広がる個性的な商品に仕上がっている。
経営母体は㈱結わえる。代表取締役の荻野芳隆氏は前職で食・健康関連企業のコンサルティングをしていたが、食事療法に取り組む施設をサポートする中で食と健康の重要性に開眼。中でも玄米食の効用の高さに感銘を受け、玄米ごはん啓蒙の事業を興そうと決意した。一方で「健康のためだけでは玄米食を広げていくことはできない」(荻野氏)と、およそ5年をかけて〝おいしい玄米ごはん〟の開発に傾注。そして、寝かせ玄米の完成をもって2009年2月に独立を果たしたのである。
当初はオフィスをターゲットとした宅配弁当店として事業を始動した。だが、認知度の低さから事業拡大に苦戦。アンテナショップが必要だと判断し、弁当の製造拠点としていた物件を活用して2009年11月にオープンしたのが結わえるだ。
4日間熟成させた玄米ごはんが看板メニュー
結わえるでは寝かせ玄米を柱に昼と夜で業態を大きく変化させている。昼は定食店で、メニューは箱膳定食800円、ハレ箱膳1000円の2品のみ。箱膳定食は一汁二菜を謳い、寝かせ玄米(1人分300g)、具だくさんのスープ、野菜の小鉢1品、漬け物1品がセットとなる。スープは日替りで、和洋中さまざまな料理を約50レシピ揃え、季節の野菜と組合せながら変更している。
夜は割烹居酒屋のスタイルを採る。野菜と魚を柱としたフードは約30品をラインアップ。メニューの半数以上を月替りで構成しているのが特徴で、あおり烏賊の刺身980円、早堀竹の子900円など、旬の食材を用いた商品を充実させている。もちろん、締めのごはんとして寝かせ玄米ご飯250円、お結び250〜290円を用意している。
客単価は昼1000円、夜6000円。もともと飲食店用に押さえた物件ではないので、店を構えるのは人通りのない裏道であるが、営業を重ねるごとに売上げが向上。また、オフィス街での移動販売や、食材のインターネット通販も好調。飲食、弁当販売、通販を合わせ、17坪22席で月商600万円を売り上げている。
今後は講演や玄米の炊き方教室といった啓蒙活動を強化するとともに、定食業態の新店、農業生産、個別カウンセリングサロンも手掛け、多面的に健康をサポートしていく意向だ。
DATA
TEL.03-5829-9929
営業時間:11時30分〜23時
土・日曜・祝日定休
オープン:2009年11月4日
店舗規模:17坪22席
客単価:6000円
月商:600万円(弁当・通販含む)
原価率: -
アルコール売上げ比率: 30%
URL: -