都内の約100軒の外食店と取引きする食肉卸の（有）グッドミートと、外食企業出身の鈴木正史氏と酒匂行博氏。この3者が共同出資して2011年7月に東京・赤羽にオープンしたのが「グッドミート・バル」だ。
「独立するなら売りが明確な店を開きたい。そう考えて卸売業者との共同経営を構想しました。”肉屋の直営“を標榜することでコンセプトをよりわかりやすく打ち出し、かつ高品質でお値打ちの肉を仕入れられるようにすることがその目的でした」と酒匂氏は語る。
　グッドミート・バルの最大の売りは当然のことながら肉料理の圧倒的なコストパフォーマンスの高さである。たとえばさまざまな希少部位を日替りで提供する特選！黒毛和牛のグリルは、A5ランクの和牛を160g使用。それでいて1280円というリーズナブルな売価を設定している。また、肉の前菜盛り合わせはスペイン産の生ハム、イタリア産ソーセージのモルタデッラ、鴨のコンフィなど５品を盛り込んだメニューだが、価格は1000円を切る880円という値づけだ。
　フードのメニュー総数は定番30品に日替り10品強を加えた40品強で、そのうち6割程度を肉料理が占める。中心価格帯は380～680円に設定して値ごろ感を打ち出しており、肉のグリルも10品前後のうち７品前後を880円以下で提供する。
　肉類はすべてグッドミートから仕入れているが、注文のキャンセルが発生した肉などを安価で受け入れて臨機応変にメニュー化している。また、正肉はできるだけブロック単位で仕入れ、端肉をミートソースやソーセージなどに使うことで原価率を32％に抑えている。

気軽さを打ち出し地元客を取り込む

　ワインの価格はボトル2400円～、グラス390円～。ボトルは赤22種、白13種、スパークリング3種、グラスは赤・白各4種、スパークリング1種を揃えている。その一方で「大衆酒場の激戦区である赤羽には、バルに馴染みのない客層も多い」（酒匂氏）ことから、シチリアンレモンサワー390円やハイボール4種390円～なども用意し、居酒屋としての需要も取り込んでいる。
　空間づくりと接客については親しみやすい雰囲気づくりに重点を置く。客席の一部には掘りごたつ席を設けた他、路面にはビニールシートで囲ったテラス席を配備。大衆的な空気感を演出している。また、接客では私服にエプロンというカジュアルな格好をした従業員が元気でアットホームなサービスを実践する。
　客単価は目下のところ3600円。23坪42席の規模で月商680万円を計上するが、その盛況ぶりを受けて現在2号店の開業を計画中だ。