炭火焼鳥 上野広小路 鳥恵(東京・上野・日本橋)
東京・上野広小路の「炭火焼鳥上野広小路 鳥恵(上野広小路店)」は、客単価5500円を確保するアッパースタイルの焼とり店だ。表通りを1本入った路地に16坪25席の店を構えており、月間950人が来店する強力な集客力を発揮している。
ファサードには小さな坪庭を設け、大きな酒林を飾って和の趣を演出。入口から客席までのスペースにはアプローチを設けて非日常的な雰囲気を醸し出し、客席はモダンな造作の中に古民家の建材を巧みに組み込むことで「先進性と和の伝統の融合」を表現する。
経営母体である㈱鳥恵代表取締役の小澤俊正氏はもともと客単価3000円前後の焼とり業態で独立を考えていた。しかし「修業先の焼とり店で高い技術を身につけることができた」(小澤氏)ことから、ハレの日や富裕層の普段使いをターゲットにした客単価5000円の業態に狙いを定め、2009年3月に東京・湯島に「炭火焼鳥 鳥恵(湯島店)」を出店。間もなく連日満席の繁盛店となり、2年後の2011年7月に2号店の上野広小路店を開業した。
客単価5000円を狙った焼とり店という方向性は両店に共通するが、品揃えの一部に個性を持たせることで2店の棲み分けを図っている。湯島店では大山どりの希少部位を充実させる一方で、上野広小路店では大山どり14品220〜300円の他、淡海地鶏や名古屋コーチンなどの地鶏9品350〜550円や京鴨400円をラインアップ。地鶏や京鴨は大山どりと比べて1串あたり100円以上も高価格に設定しているが、単品原価率35%を投じてお値打ちを訴求している。
サイドメニューや器にも細やかな心配り
また、焼とりは小澤氏自作の角皿で提供しており、皿の中央に仕切りを設けることでタレ味と塩味の串を分けられるよう工夫するといった細やかな気配りを払っている。
焼とりは5本、7本、10本のセット1400円〜を提供する他、串もの5本を含む7品の焼き鳥コース3500円も用意し、カウンター席メインの湯島店で取りこぼしていたグループ客の吸収を図っている。
サイドメニューは肴10品500〜800円、〆4品600〜800円に絞り込み、肴は鶏シュウマイや自家製豆腐各600円といったあらかじめ仕込んでおけるクイックメニューを中心とする。営業中は焼とりの焼成に集中する環境をつくっているわけだが、そのぶんシュウマイや豆腐を自家製するなど仕込みに手間をかけて品質を追求する。
アルコールは日本酒、ビール、ワインが売上げのおよそ3分の1ずつを占めているが、もっとも力を入れているのが日本酒で、1合650〜1200円の価格帯で提供する。16種と絞り込んではいるものの、小澤氏が所属する酒の懇親会「酒狂会」で仕込みにも参加するプライベートブランドの白鴻酒狂会PB純米生原酒850円など、蔵元と接点のある銘柄を中心に揃えている。
ビールは樽生の白穂乃香、琥珀エビス各650円、瓶のエビス600円の3品を用意。ワインはグラスワイン赤白泡各1種750円、ボトルは泡3種、赤白各6種を揃えており、価格帯は4200〜1万5000円に設定。アルコール売上げ比率は40%で推移している。
「今後は若いスタッフにどんどん経験させて、彼らの独立を支援していきたい」と小澤氏は語る。
DATA
TEL.03-3836-0211
営業時間:17時30分~22時30分(L.O.)(土曜・日曜は17時~)
日曜定休
オープン:2011年7月
店舗規模:16坪25席
客単価:5500円
月商:
原価率: 28%
アルコール売上げ比率: 40%
URL: http://www.yaki-torie.com