東京・目黒駅から徒歩5分ほどの場所にある「アニモ フェリーチェ」。「キャンティ」（東京・西麻布）や「ラ・ブリアンツァ」（同・麻布十番）で修業を積み、途中、渡伊してトスカーナ州やウンブリア州などで２年間現地の郷土料理を学んだ、妻形健司さんが開業したリストランテだ。
　夜の料理は3900円、5500円、7000円のコースが軸。「修業時代に学んだ料理を土台に、少しずつ自分らしさも表現していきたい」と話す妻形さんが、料理を考えるうえでもっとも意識するのはコースの流れ。5500円のある日のメニューは、黒ゴマをまぶして炭火でさっとあぶったカツオの切り身に、さわやかなマヨネーズ風味のソースを合わせた「カツオのカルパッチョ」、フォワグラにパン粉をまぶして揚げた「フォワグラのカツレツ」という前菜２品から、カニ味噌ベースの濃厚なソースを合わせるタリオリーニと、セージ・バターにパルミジャーノを溶かしたやさしい風味のソースを合わせたホロホロ鳥のアニョロッティのパスタ2品。そして主菜の「仔羊のロースト」という流れだ。「ひと皿ごとに風味の強弱をつけ、食事にリズムが生まれるように心がけています」（妻形さん）
　また、妻形さんが注力するのが、現地で学んだ素朴な料理にひねりを加え、リストランテの皿に仕立てること。たとえば先のフォワグラ料理も、ウンブリア州の修業先だったレストランで、肉料理の付合せに添えられていたものが原形。そのシンプルな料理にポーチドエッグと甘みの強いヴィンコットを添え、組み合わせて食べてもらうことでフォワグラを多彩な風味で味わえるようにした。
「これからも今まで学んだ料理を土台に、食材の組合せなど、新しい要素を加えることで、自身の料理のクオリティを高めていきたい」と妻形さんは話す。