Tatsumi(品川・五反田・目黒)
「アバ」とは内臓肉のことで、フランスでは家庭料理によく内臓肉を使用する。2011年3月に東京・中目黒にオープンした「Tatsumi(たつみ)」はこのアバ料理をメニューの柱に据えたビストロである。店は駅から離れた商店街の外れに位置するが、10.5坪18席の店内は連日、予約客のみで満席になる集客力を発揮。客単価8000円で、月商350万円を弾き出す繁盛ぶりを見せている。
オーナーシェフの広瀬 亮氏は国内のフランス料理店に勤めた後に渡仏し、一ツ星のレストランなどで2年半に渡って修業を積んだ。帰国後は外食企業にも勤務し、店の立ち上げや商品開発などにも携わった。豊富な経験を持つ広瀬氏が独立にあたって意識したのが、「自分がつくりたい店ではなく、自分が行きたくなる店」だったという。
「これまでにさまざまな店で食事をしましたが、客単価1万円以上のフレンチレストランと同5000〜7000円の良質なビストロでは、商品の品質だけを見れば大差がない。それならできる限り余分なものを削って、手ごろな価格でしっかりした料理を食べられる店をつくろうと考えました。ただ、競合店がひしめく価格レンジでもあるため、店の顔となる商品としてアバ料理を掲げることにしたのです」
メニューの幅を広げることで、さらにワインを嗜むお客が増加
フードは黒板メニューだけで構成し、60〜70品を揃える。売れ筋のアバジュレ600円はハチノス、センマイ、牛のアキレス腱などをゼリー寄せにしたもの。その他、豚の脳みそを春巻きで包んだ豚セルベルのパリパリ焼き1000円や豚足に鶏のムースとフォアグラを合わせた豚足爆弾1800円など、独自性の高い商品がメニューに並ぶ。
「当初はロスを抑えるためにフードは30品前後に絞り込み、そのうちアバ料理が4割ほどを占めていました。ただ、想定以上に順調に集客を伸ばすことができたので、再来店を促すためにもメニューの幅を広げることにした。それにともない、現在、アバ料理が占める割合は2割程度に落ち着いています」(広瀬氏)
ワインはグラスで赤、白、泡計7〜8種700〜900円、ボトルで赤、白計120種前後5000円〜を揃える。高品質な料理を揃えることで、ワインを嗜む上質なお客の割合が増加。アルコール売上げ比率は60%におよび、それによって客単価も引き上げられているという。
「今後の課題は月商350万円をしっかりと維持していくこと。現在、原価率は30〜35%を推移していますが、これを40%程度まで上げていき、さらに高品質な商品を提供することでお客さまの満足度を高めていくつもりです」と広瀬氏は語る。
DATA
TEL.03-5734-1675
営業時間:18時~翌2時(フード翌0時L.O.、ドリンク翌0時L.O.、土曜は~翌0時)
日曜定休
オープン:2011年3月14日
店舗規模:10.5坪18席
客単価:8000円
月商:350
原価率: 30%
アルコール売上げ比率: 60%
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