センプレピッツァ(東京西部)
石窯で焼いた直径25㎝のマリナーラが280円。この業界最安値ともいえる価格破壊力を武器に、10坪20席の規模で月商450万円を叩き出しているのが東京・高円寺の「センプレピッツァ」高円寺店だ。オープンは2011年6月。経営母体の㈱Buona Vitaは客単価5000円前後のピッツェリア、トラットリア各1店を東京都内に展開しているが、震災の影響で業績が大幅にダウン。その中で代表取締役の志水将児氏は「デイリーユースできる業態が必要」と判断し、センプレピッツァを開発した。
デイリーユースできる業態、つまりナポリピッツァのファストフード(FFS)化を図ることがその業態づくりにおける要である。ピッツァは10品を揃え、うち5品を500円以下にまとめているが、その価格設定で参考にしたのが牛丼FFSだ。マリナーラの値づけを牛丼の最低価格と同水準に揃え、価格破壊をより明確に打ち出したわけだ。また、サイドメニューは4品まで絞り込み、ゼッポリーニ150円など3品はピッツァとセット販売する商品で構成している。 ※写真上は、マリナーラ280円。
レジ一体型の厨房を配し、その場で商品を受け取れるファストフードスタイルを採用
店舗造作ではレジカウンターを併設した厨房主体のレイアウトを組む。イートインスペースも設けるが、セルフサービスの導入により、人員配置はピーク時でも4人のみ。これで1時間80枚のピッツァの注文に応じるオペレーションを確立している。
一方、開業後に改善を重ねてきたのが原価の抑制だ。もともとピッツァは粗利益の高い商材だが、それでも当初の原価率は40%におよんでいた。原価圧迫の要因になったのが主力食材であるモッツァレラチーズ。志水氏は価格と品質のバランスを考慮しながら5種類以上のチーズで試作を繰り返すことで、現在は原価率を33%まで抑えている。
また「冷凍生地だと原価を圧迫する」(志水氏)ため、生地は店内調理しているが、粉の配合ではイーストの使用量を低く設定しているのが特色である。センプレピッツァのテイクアウト比率は70%。持ち帰るまでの時間を考慮し、「グルテンの量を抑えることで、冷めても生地が硬くなりにくい」(志水氏)工夫を施している。
センプレピッツァは東京・阿佐ヶ谷、高田馬場、埼玉・武蔵浦和にも店を構え、これまでに計4店を布陣。早い段階でフランチャイズ展開にも乗り出す意向で、「都心部の私鉄沿線の駅前立地を中心に出店を進め、まずは100店突破をめざす」と志水氏は意気込む。
※ピッツァ1日平均出数、メニュー、価格、各商品の原価率、人員配置や生産体制などの詳細は、『月刊食堂2013年2月号』(70〜71頁)で紹介しています。→http://www.shibatashoten.co.jp/ (柴田書店)
DATA
TEL.03-3330-9201
営業時間:11時30分〜22時30分
無休
オープン:2011年6月8日
店舗規模:10坪20席
客単価:850円
月商:450万円
原価率: 33%
アルコール売上げ比率: -
URL: -