魚秀 本店(東京西部)
店主自らが漁に出て、定置網漁で水揚げした鮮魚を店で提供する。その圧倒的な鮮度を武器に、大ヒットを飛ばしているのが東京・吉祥寺の海鮮居酒屋「魚秀」本店だ。オープンは2010年8月。外食店が点在する路地に店を構えているが、11坪22席の規模で多い日には客数80人にもおよぶ盛況ぶりを見せている。
経営母体は㈱ドリームシップ。代表取締役の満留秀人氏は、海鮮居酒屋「魚眞」などを展開する㈱シンに10年勤務した後、神奈川・大磯の鮮魚料理店「めしや大磯港」に飛び込みで弟子入りを志願した。めしや大磯港は大磯漁協が直営しており、そこで半年にわたって漁船、漁港、市場、店の手伝いをする中で、固い信頼関係を築いていった。
いまも満留氏は大磯に通って週2~3日は漁に参加する。大磯漁港では買参権も有し、また、漁港、市場に勤務する中で全国の漁港とのネットワークが広がり、各地の港から直接鮮魚を買いつけるパイプも構築している。
「仕入れるのはその日に水揚げされた鮮魚のうち、最高といえるものだけを選りすぐる」と満留氏は語る。食材に絶対の自信を持っているため、メニューは真っ向勝負のシンプルな構成だ。フードは日替りのみを用意し、刺身20品前後、炭焼き6品前後、炙り物4品、サイドメニュー20品前後をラインアップ。サイドメニューは鮮魚料理が中心で、魚介を使用しない料理は5品にも満たない。
※写真は、手前から港の刺盛り極上2人前(1人前1280円)、のどぐろ塩焼き1790円。
原価を思う存分かけた料理で、11坪22席が連日3回転
看板商品の港の刺盛り極上1290円(1人前)は組客当たりの注文率がほぼ100%におよび、ヒラメ、キンメダイ、シマアジなど旬の鮮魚10種前後を盛りつける。入口正面に鎮座する囲炉裏で焼きあげる炭火焼きは、のどぐろ塩焼1790円、鮎塩焼790円など、高級魚などを破格の値づけで提供している。
漁船から買いつけた鮮魚は「支払いはいつでもいい」(満留氏)という阿吽の関係であるため、原価率の正確な数値は導き出せないが、「原価を思う存分にかける魚眞の教えを受け継いでいるので、フード原価率は50%前後におよんでいる」と満留氏は言う。
13年4月には同じ吉祥寺エリアで2号店「魚秀 禅」をオープン。商品構成などは基本的に本店のものを引き継いでいるが、すでに28坪40席の店内は連日お客で埋め尽くされる繁盛ぶりだ。同社は年3~4回、全従業員で漁に参加している他、店長クラスはめしや大磯港に4日間前後勤め、福留氏と同じ体験をすることで技術を磨きあげている。「直営の多店化は計画していないが、従業員たちが独立する形でこの事業モデルを広げたい」と満留氏は語る。
DATA
TEL.0422-22-1233
営業時間:17時30分〜翌1時
不定休
オープン:2010年8月5日
店舗規模:11坪22席
客単価:5500円
月商:−
原価率: 50%
アルコール売上げ比率: 45%
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