酒庵 酔香(東京東部)
東京・押上に店を構える「酒庵 酔香(酔香)」は半合400円、1合700円の2ラインの均一価格で日本酒を提供する日本酒バーだ。店はシャッター街化した商店街に位置しているが、カウンターのみで構成された7坪10席の店内は連日お客で溢れる集客力を発揮。客単価3200円で、月商は150万円を売り上げている。
店主の菅原雅信氏は元雑誌編集者。酒処である秋田県の出身だったこともあり、消費量が落ち込む日本酒マーケットを盛りあげたいと、脱サラをして2010年5月に酔香を開業した。「業態開発では均一価格と半合売りのスタイルが真っ先に固まりました。日本酒はアルコール度数が高く、従来の1合売りだとお酒を飲み慣れていない人は1~2杯しか飲むことができない。日本酒の味わいは多様性に富み、冷酒、常温、燗酒など飲み方もさまざま。均一価格と半合売りで幅広い日本酒の魅力を手軽に楽しめるようにすることで、日本酒ニーズの裾野を広げようと考えたのです」と菅原氏は説明する。
日本酒は常時300種を揃え、店主がお客の好みに合わせて銘柄をセレクト
半合400円という価格は2つの基準から導き出された。ひとつは1杯を500円以下に抑えることで値頃感を打ち出すこと。もうひとつは原価からの逆算だ。日本酒の原価率は40~50%に設定。1升瓶に換算すると3200~4000円が原価になるが、「この価格帯の日本酒は層が厚く、純米吟醸や熟成酒、新作なども豊富に揃うため、品揃えに困らない」(菅原氏)のだという。
日本酒は常時300種前後を揃え、そのうち45種前後をわかりやすい説明文とともにメニュー表に記載。その他の日本酒はお客からの相談に応じて好みに合った銘柄を菅原氏がセレクトして提供する。また、サービス酒半合300円や利き酒セット900円といったスポットメニューも用意し、季節感、話題性のある日本酒も積極的に提案している。
現在の来店客の男女比率は5対5。当初は男性客比率が高かったが、徐々に女性客の利用が増加。「その意味では日本酒のファン拡大に少しは貢献できていると手応えを感じている」と菅原氏は語る。
※写真は、「イチジクの生ハム巻き」300円。日本酒と果物の相性がよいことから投入した商品。日本酒梅酒のウメでつくったジャムを添えている。
DATA
TEL.03-6657-0140
営業時間:17時~23時(L.O.22時30分 土・日は15時~22時《L.O.21時30分》)
火曜、第2・4月曜定休
オープン:2010年5月21日
店舗規模:7坪10席
客単価:3500円
月商:150万円
原価率: 42%
アルコール売上げ比率: 60%
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