山角(東京西部)
都内の京王井の頭線・小田急小田原線下北沢駅南口から歩くことおよそ5分。人通りがまばらになってくる通称「茶沢通り」沿いの角地に立地する「山角」は、11.5坪25席という小体な路面型の定食店だ。
山角のメニュー表の筆頭に並ぶのはあじフライ定食850円、ハムエッグ定食680円などの定食10品。ただし、その脇をポテトサラダ400円、もろきゅう350円といった居酒屋の一品料理約50品、そしてアルコール15品で固めているのがこの店のユニークな点だ。
そうしたメニュー構成を反映して、山角の店内には22時を過ぎても続々とお客が入店してくる。各々のオーダースタイルは、瓶ビールをお供に定食を食べる学生と思しき男性やサワーを片手に唐揚げをつまむサラリーマンなど、さまざまである。
目下のところ山角の客単価は1500円。お客1人あたりの支払い額は定食利用の680円から居酒屋利用の1800円までと幅広い。この実績を見ると、いわゆる定食店というよりは食事と居酒屋の双方のニーズを吸引する「一膳飯屋」といったほうが営業の実体により近いだろう。
※看板商品のひとつであるチキン南蛮定食(ごはん、味噌汁つき)880円は、揚げたてのチキンカツに自家製タルタルソースをかける。写真奥は定食でも売れ行きのよい牛すじ煮込み(単品)580円と春菊ナムル380円
お客の使い勝手をとことん考慮した提供スタイルも売りのひとつ
オーナーの松岡明子氏は長年外食店に勤務してきたが、2011年の夏に前職の同僚であった女性2人とともに独立開業を決意。ただ、「当時は定食をメニューの柱にすること以外は、コンセプトも料理の内容もまったく決まっていなかったんです」と松岡氏は笑う。さらに「昼営業をはじめたのは今年に入ってからですし、価格もお客さんの意見を聞きながら上げたり下げたり。営業しながら試行錯誤を重ね、現在のスタイルに行き着きました」と松岡氏は言う。
メインの定食の主菜にはキャベツの千切りとスパゲティが添えられ、大ぶりの茶碗で供されるごはんはお替りが1杯無料。さらに、定食の主菜は定食の価格から200円引きで単品オーダーも可能だ。一方で焼き魚などの一品料理はプラス200円で定食にできるなど、お客の使い勝手をとことん考慮した提供スタイルも売りのひとつだろう。
1日平均客数はいまのところ55人で推移しているが、そのおよそ半数が定食を注文。11年11月のオープン当初こそ日商1万円の日が続いたというが、3ヵ月が経った頃から徐々に売上げが伸長。いまでは日商10万円を超える日も少なくないという。「定食店の弱点はアルコールの売上げが弱いこと。その反面、居酒屋に比べて来店頻度が高いのが強みです。当店はリピート率も高く、週2~3回来店するお客さまも多い。『街の定食屋』として、地元での認知度を高めるのがいまの目標です」と松岡氏は語る。
DATA
TEL.03-6407-9032
営業時間:12時~翌2時
無休
オープン:2012年11月8日
店舗規模:11.5坪25席
客単価:1500円
月商:−
原価率: -
アルコール売上げ比率: -
URL: -