魚菜 由良(品川・五反田・目黒)
都内のJR大井町駅から歩くことおよそ5分。小さな居酒屋やラーメン店などが点在する閑静なエリアの一角に店を構える「魚菜 由良(由良)」は、2009年5月にオープンした和食店である。主客層は30代〜50代の会社員や近隣住民。12坪20席の規模で月商280万円を計上し、1〜2週間先まで席は常に予約でいっぱいという繁盛ぶりを見せている。
メニューは3800円と4800円の2ラインで提供するコース料理と、中心価格帯800〜1500円のアラカルト約25品を揃え、客単価は5100円を確保する。
都内の和食店で調理経験を積んだ店主の本橋裕之氏は、「めざすのは日常的に通っていただける和食店。食べて飲んで5000円前後に収まる価格設定にしています」と業態づくりの狙いを話す。その一方でフードの原価率は約40%をかけて品質、量ともに圧倒的なお値打ちを打ち出す。中でも特筆すべきなのが、お客の9割が注文する原価率40%超のコース料理の圧巻の品数だ。
「和食の5000円以下のコースは7〜8品構成が主流ですが、その品数では物足りないと感じていました。ですから由良では10品以上提供しようと決めていました」と本橋氏は話す。また、「売価を抑えているため、高価な食材は使えません。そのぶん、たくさんの品を味わっていただきたいという気持ちも強い」と続ける。
※4800円コースの一例。写真手前の皿は、焼物と先付のミカン釜を一皿に盛り合わせた品。焼物はサーモンの西京焼き、海老真丈を詰めたシイタケの揚物が主役。その他、鴨肉のローストなどを盛り合わせている。写真奥はカニ、イクラ、ウニの海鮮土鍋御飯
食材ロスを削減し、常に鮮度の高い魚を提供。お得な飲み放題も人気理由の一つ
3800円コースの一例を挙げれば、まず酢の物を詰めたカボス釜とカボチャの茶わん蒸しにはじまり、お造り4種(ヒラメ、イカ、コハダ、サバ)を提供する。さらにジャガイモ素麺、ナスとサトイモの朴葉焼き、主菜のサーモンの西京焼きとシイタケの揚物、カツオのユッケ、柳川風のマツタケ鍋、柿の胡麻和え、鶏のハラミ鍋と続き、食事の締めにクリの土鍋御飯を提供するといった内容だ。その中で本橋氏がコースの柱に据えるのが、刺身、焼物、鍋物である。刺身は必ず4種、焼物は2種の盛合せにし、さらに鍋物に至っては2品を組み込み、コース全体のインパクトとバリューを高めているのだ。
由良ではコース料理の注文率が9割を超えるため、予約客数に合わせた食材の仕入れが可能だ。たとえば魚は予約客数に合わせたサイズを仕入れて食材ロスを削減しつつ、お客には常に鮮度の高い魚を提供する。
アルコールは、和食店という看板を掲げながら、日本酒1種、焼酎2種、サワー2種、ソフトドリンク4種の飲み放題(時間制限3時間)1500円を実施。接待や家族利用だけでなく、飲み放題を目当てにした宴会利用のお客も多い。この利用動機の幅広さも由良がたくさんのお客に支持されている理由の一つだ。
DATA
TEL.03-6429-9165
営業時間:17時30分〜23時30分(L.O.23時)
日曜・祝日定休
オープン:2009年5月21日
店舗規模:12坪20席
客単価:5100円
月商:280万円
原価率: 40%
アルコール売上げ比率: 25%
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