「ホットケーキパーラーリトルツリー」がオープンしたのは2012年9月11日。都内の小田急線梅ヶ丘駅から徒歩2分ほどの並木通り沿いに立地する約10坪12席の店には、平日でも開店直後からお客が訪れ、1日30～50人を集客する。週末になると地元客に遠方からのお客も加わって終日ウエイティングが途切れないこともあり、多い日は100人近くのお客が訪れるという。
　マスターの冬木 透氏はＩＴ企業勤務を経て東京・神田の老舗果物店「万惣フルーツパーラー」を経営する万惣商事㈱に入社。調理を担当していたが、12年3月に休業が決定し、妻の麻依子氏とともにパーラーの開業を決意した。「物件の第一条件は、近くに公園があって緑豊かな環境であること。ホットケーキ専門にしたのは、万惣時代にホットケーキには人を笑顔にする力があると実感していたのと、店の売りがわかりやすいという2つの理由からです」（透氏）。

※ホットケーキ2枚550円には自家製メープルソースとバターがつく。トッピングは王林を使った自家製ジャム＆生クリーム200円。挽きたてドリップブレンド400円（ケーキとセットで50円引き）

ホットケーキは「少しだけ食べたい」という要望に応えるため１枚から提供

　看板商品のホットケーキは1枚300円から好みの枚数を注文可能。トッピングはアイス、生クリーム＆ジャムなど6種100円～を用意する。注文が入ると、オープンスタイルの厨房で透氏が1枚ずつホットケーキを焼きあげる。「鉄板焼き店のように、銅板の上で生地が焼きあがる様子を眺められるようにカウンター席を設けました」と透氏は言う。その思惑通り、ホットケーキが焼きあがる様子を身を乗り出して見つめるお客も少なくない。また、13年7月からは「メニューに季節感と彩りを加えたい」（透氏）とフルーツサンドイッチ600円を新たに投入。ホットケーキと一緒に注文されることも多く、評判だという。
　ドリンクは挽きたてドリップブレンド400円や旬のフルーツを使ったジュースなど約10品を揃え、コーヒーは1杯190㎖とたっぷりの量で提供している。来店客の9割がホットケーキとドリンクを注文し、客単価は900円だ。
　一方、接客は常に「自分がされて嬉しいこと、嫌なこと」を基準に考えているという。「たとえばホットケーキを少しだけ食べたいという要望に応えるため、枚数を選べるようにしました。また、スタンプカードは、来店回数や支払額に応じてスタンプを押すのが一般的ですが、溜まるのに時間がかかる。そこでホットケーキの注文枚数に応じてスタンプする方式にしています。それから店の外に行列が見えると店内でお客さまがゆっくりできないと思い、空席ができ次第、携帯電話にご連絡するスタイルを採りました」と透氏は話す。今後も実直に営業を続け、地元のファン層を広げていく考えだ。