炙り家 ええねん 福島店(大阪)
「炙り家 ええねん」福島店の最寄り駅は、JR大阪駅からひと駅の福島駅。同駅から徒歩約2分の競合店ひしめく裏路地に立地しながら、客単価4500円、20坪38席で月商約500万円を売り上げる繁盛店だ。経営母体の㈲ラヴィーンは、兵庫・伊丹に炙り家 ええねん伊丹店と創作和食店、せいろ蒸しとワインを主力にした居酒屋を展開する。福島店の開店は2008年10月で、開店当時は伊丹店と同様の業態だったが、リーマンショックの影響もあって当初は集客に苦戦。その打開策として絞り出したアイデアがセルフメイクの炙り串であった。
「お客さま自らが串を焼く楽しさや目新しさを打ち出し、他店との差別化を図ろうと考えました」と同社代表の神谷俊彦氏は語るが、そのスタイルは卓上に設置した電磁コンロで串打ちした魚や野菜をお客自らが焼くというものだ。この業態転換に当たって神谷氏がもっとも力を入れたのが仕入れルートの開拓。伊丹市と大阪市の市場や漁港、農家に何度も足を運び、業者や生産者と膝を突き合わせて話すことで鮮度の高い食材の確保に努めた。さらに産地や生産日を記した保証書の発行や保管状況の改善などの協力を仰ぎ、食の安全性の強化にも取り組んでいる。
野菜ソムリエが素材を吟味し付加価値を訴求
また、食材の品質を訴求する手法にもアイデアが光る。たとえば野菜は、野菜ソムリエの資格を取得したスタッフを自社に置き、八百屋や市場で素材を吟味させたうえでメニュー上で「野菜ソムリエ厳選」と謳う。一方で魚介類は、「瀬戸内海直送の鮮魚に仕入れを限定することで、付加価値を訴求している」と神谷氏は言う。さらにテーブル上にアンデスのボリビア岩塩をはじめとした3種の塩、九州のむろや醤油「若緑」を含めた3種の醤油を用意し、お客の好みに合わせた味付けが楽しめる工夫も施している。
価格は野菜の炙り串が1本150円〜、魚介類が1本250円〜。食材の品質を追求したことで原価率は40%を超すが、そこから生まれる商品のお値打ちこそが、福島店の集客を支える屋台骨になっている。
炙り串は、エビ、ヒラメなどの鮮魚10品、アマダイ、トロホッケなどの魚の一夜干し10品、アイコトマト、シイタケなど野菜10品を用意。フードはこの他に刺身、天ぷら、蒸篭蒸し、鍋など計100品を数える。また、約65種の焼酎や約35種の梅酒をはじめとしてアルコールも豊富に揃う。
今後の展開について神谷氏は、「心斎橋や天満、中之島などのビルから有利な条件で引き合いはあるが、現在は既存店の磨き込みに傾注している。体制が整えば2〜3年後には、東京進出も考えたい」と語る。
DATA
TEL.06-6452-3345
営業時間:17時〜翌1時
不定休
オープン:2008年10月
店舗規模:20坪38席
客単価:4500円
月商:500万円
原価率: 40%
アルコール売上げ比率: 60%
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