ワイン食堂 カドマル(名古屋)
日本一シャンパンの安い店。看板に掲げられたこの言葉が、愛知・名古屋にある「ワイン食堂 カドマル(カドマル)」のコンセプトである。
確かに安い。もっとも低価格の「マリーワイス」がボトル4000円。人気銘柄「モエ・エ・シャンドン」や「ヴーヴクリコ」は6000円前後と、ほとんどが一般的な小売価格を下回る値づけだ。この圧倒的なコストパフォーマンスにより、2013年5月のオープン以来大ヒット。わずか8席で1日平均30人を集客し、客単価3000円で平均月商270万円を売り上げている。店の面積は2.5坪、坪あたりの月商は100万円以上という驚異の繁盛店だ。
経営母体の㈱マールダイニングはJR名古屋駅近くで11年からバル業態の展開をスタートしており、このカドマルが4号店となる。同社の秋山清高社長はこう語る。
「物件を見て最初に立てたプランは全品均一価格の立ち飲み業態でしたが、長いつき合いのある業界の先輩から『回転を追うより、いいものをお値打ちに提供する業態にしてはどうか』というアドバイスをいただいた。そこで僕自身が一番好きな酒であるシャンパンをとことん安く売る店をつくろうと考えたのです」
秋山社長は中堅外食企業のトップを務めるなど業界に20年以上携わり、ワインのインポーターとも強力なコネクションを持つ。そのルートをフル活用して低価格を実現した。
※グラスシャンパンはフルート型のグラスに約110㎖をなみなみと注ぐ。日替りで4種あり、写真は取材日に提供していたシャルル・オスマン600円。グラス7杯分とボトル1本がほぼ同じという単純明快な価格設定
フードメニューは、グループ店からの出前で一気に充実!
シャンパンはリストに載せた15種の他に、スポット的に提供するものが15種前後ある。他にワインは赤・白合わせて50種を置くが、アルコールに占める比率はシャンパンが90%以上。ボトルの他にグラス4種を600~800円で提供し、トータルで1日15~20本ぶんのシャンパンを消費するという。
ワインセラーを置くスペースがないため、シャンパンはカウンター内のシンクおよびクーラーボックスに入れて氷で冷やす。またカウンターバックの棚は、高さの違うグラスをすっきり収納できるよう棚板の高さを細かく調整できるつくりとした。さらにカウンター上部にはバッシングしたグラスを一時的に置いておく棚を設けるなどスペースを有効活用するための工夫が随所に見られる。
狭小物件のため大がかりな調理設備は入れられない。そこで基本のフードメニューはマリネや生ハムなど簡単に調理できるものに限定し、それ以外はグループ店からの「出前メニュー」で対応している。カドマルから20mほど離れた同社の1号店「イタリア食堂MARU」をはじめ既存3店はすべて近隣にあるため、スピーディな対応が可能。フードの売上げ構成比は20%にすぎないが、「3店合わせて200品くらいのメニューから選べる」(秋山社長)ことはカドマルならではの魅力だ。
トータル原価率は50%にのぼるが、1人でオペレーションできるため人件費率は10%程度。オープン以来毎月100万円前後の利益を生み出すドル箱店となったカドマルだが「お客さまから『シャンパンって、こんなにおいしいものだったんだ』という声を聞くのが一番うれしいですね。これからも一層、いいものを安く売るための努力を続けていきます」と秋山社長は語る。
DATA
TEL.090-7033-0003
営業時間:15時~22時
不定休
オープン:2013年5月11日
店舗規模:2.5坪8席
客単価:3000円
月商:270万円
原価率: 50%
アルコール売上げ比率: 80%
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