東京軍鶏専門店 鶏はな(東京・上野・日本橋)
東京都畜産試験場(現・東京都農林総合研究センター)が開発した東京軍鶏は、軍鶏にブロイラー鶏種を交配したブランド鶏である。闘争性が強い軍鶏は脂肪が少なく、赤身の旨みに秀でるのが特色だが、反面で焼くと固くなりがち。「東京軍鶏はその点が改善されており、焼き物や鍋物に最適な鶏肉です」と語るのは「東京軍鶏専門店 鶏はな(鶏はな)」のオーナーシェフである小田切広行氏だ。
小田切氏は焼とり店、割烹店で修業を重ね、外食企業では統括責任者も務めるなど、30年以上にわたって外食の実務経験を積んできた。その中で東京軍鶏の食材としての可能性に着目。それを業態づくりの核に据えて開発したのが鶏はなで、2011年11月に東京・根津に開業した。
※写真はディナーの注文率で30%を占める焼鶏コース2800円。いずれのコースも東京軍鶏とともに野菜を用いた料理を柱にしており、地味になりがちな鶏料理に彩りを添えていることにも個性が光る
手軽な価格のコースで、まずは東京軍鶏の魅力を知ってもらう
フードは東京軍鶏を使った焼とり、軍鶏鍋、すき焼きを柱にしているが、特筆すべきは夜はコースのみを提供していることだ。東京軍鶏の仕入れ形態は丸鶏に限定されるが、小田切氏は鮮度を重視して仕入れた鶏肉は当日中に使い切る方針を採る。コースのみのメニュー構成にすることで、使用部位をコントロールでき、丸鶏を無駄なく使い切ることができる。また、東京軍鶏は他の地鶏と同水準の原価になるため、コース仕立てで高付加価値を打ち出すことで単価アップを狙ったのである。
コースは焼とりをメインに据えたものが5種2800~4800円、軍鶏鍋メイン、すき焼きメインが各2種3800~5000円の計9種を揃える。売れ筋の焼鶏コース2800円は前菜6点盛り、東京軍鶏焼鶏8種、季節の蒸し野菜、軍鶏スープで構成され、注文率は30%。「手頃な価格のコースを用意し、まず東京軍鶏の魅力を知っていただくことで、そこから上位コースへの注文につなげたいと考えました」と小田切氏は語るが、その狙い通りに再来店するお客の比率が高まるにつれ、夜の客単価は当初の4000円から6000円まで上昇している。
鶏はなは最寄り駅である東京メトロ根津駅と千駄木駅のほぼ中間、フリ客がほとんど見込めない立地に店を構える。それでも目的客をしっかりと摑むことで、営業を重ねるにつれて客数が増加。13年に入ってからは、業績は対前年同月比120%超を維持しており、目下のところ、17坪24席の規模で月商は400万円に達している。
「目標年商は1億円。そのために現在は店の拡張工事を予定するとともに、軍鶏鍋やすき焼きなど東京軍鶏製品のネット販売事業の準備も進めています。また、多店化にも前向きに取り組み、2~3年以内に2号店を出店したいですね」と小田切氏は今後の展望を説明する。
DATA
TEL.03-5834-8079
営業時間:12時~14時、17時30分~23時(火曜はランチ休み、日曜・祝日は~22時)
月曜定休
オープン:2011年11月25日
店舗規模:17坪24席
客単価:6000円
月商:400万円
原価率: 35%
アルコール売上げ比率: 40%
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