バカリ・ダ・ポルタ・ポルテーゼ(渋谷・恵比寿・代官山)
フードメニューは10皿のコース料理1本のみ。さらにワインもイタリア産のビオワインのみに絞り込むという思い切った営業スタイルで、坪月商25万円を売るイタリア料理店が、東京・渋谷の「バカリ・ダ・ポルタ・ポルテーゼ」である。
経営母体は㈲ジュン・アンド・タン。2005年のオープン当初はワインと小皿料理を主体としたワインバーとして営業していたが、2008年のリーマンショックを境に客足が遠のいた。売上げ減に悩んだ代表取締役の平高行氏は、神奈川・関内の姉妹店「サローネ2007」の成功例を導入することを思い付く。それが提供する料理をコース1本に絞った営業スタイルだったのである。
サローネ2007のコース価格は1万円だが、同店では渋谷のど真ん中という立地を考慮して、10皿3500円というお値打ち感を前面に打ち出している。とはいえ、料理のクオリティを落とすわけにはいかない。「使う食材を絞り込むことで、アラカルトの場合よりも食材のランクを上げることができます。また、産地やブランドなどにこだわらず、私たちが求める品質を基準にして食材を選ぶことで料理のクオリティを保つことにしたんです」(マネージャー・辻利治氏)
コース内容は1ヵ月半ごとに変更するが、変更の3週間前にはおおよその構成を決めることにしている。それによってお客との会話の中で次回のコース料理が予告でき、次の予約を獲得することができるからだ。
ワインのコース「プロポスタ」は同店ならでは
さらにもうひとつ特筆すべきは、コース一皿一皿の料理に合わせたグラスワインのコース「プロポスタ」を用意している点だ。もっとも杯数が多いのが9皿の料理にワインを組み合わせた9種4500円だが、その杯数はお客の要望によって変えることができる。注文率が高いのは7種3500円。そのリストも、イタリア土着の品種で、単一品種でつくられたワインに絞り込んでいる。
また、提供時にワインの味わいと料理のマリアージュのポイントを説明し、お客の好奇心と期待感を高めていることも強調しておくべきサービスの工夫だろう。
30代〜40代のオフィスワーカーを客層の中心として16坪22席の店内は連日予約で満席。来店客の男女比は3対7だが、それでもアルコール売上げ比率は約50%に達する。ほぼすべてのお客がプロポスタを注文しているからで、夜の客単価は7000円で推移している。
辻氏は「今後はワインのコースを増やして、たとえば一皿の料理に赤と白の両方のワインを組み合わせるといった提案をしていきたい」と意気込みを語る。
DATA
TEL.03-3462-2277
営業時間:12時〜14時(L.O.)、18時〜21時(L.O.)
第1、第2月曜・日曜定休
オープン:2005年8月
店舗規模:16坪22席
客単価:7000円
月商:400万円
原価率: 30%
アルコール売上げ比率: 50%
URL: -