居酒屋あげ屋(池袋・高田馬場・早稲田)
新潟県中部に位置する栃尾(現・長岡市)の郷土料理である栃尾揚げ。厚みのある豆腐を生地にした油揚げの一種で、ふわふわとした食感が持ち味だが、それを看板商品に掲げ、大ヒットを飛ばしているのが、東京・高田馬場に店を構える「居酒屋 あげ屋」だ。オープンは2009年2月。JR高田馬場駅のすぐそばという利便性のよさも手伝い、開業間もなくから近隣に勤める会社員を中心に高い支持を獲得。11 坪34席の規模で月商400万円を弾き出す集客力を発揮している。
経営母体は㈱プラス フード システム。代表取締役の勝俣賢治氏は同店の開業にあたって「独自の売りが必要」と考え、以前からその味に惚れ込んでいた栃尾揚げに着目。新潟の製造業者に半年ほど通い、調理技術を習得した。
栃尾揚げはおろしネギ200円、焦がしネギ味噌、しそチーズ各350円の3種を揃えるが、注目すべきはそれを“揚げたて”で提供していることだ。
低温の油で揚げる“栃尾揚げ”が看板メニュー
「低温の油で時間をかけて揚げる栃尾揚げは、地元でも揚げたてを提供する店はない」と勝俣氏。同店では生地を勝俣氏の修業先の業者から仕入れるが、生地は通常の3分の1のサイズのものを使用。本来は1時間以上かかる揚げ時間を約25分に短縮することで、“全国唯一の揚げたて”を謳った栃尾揚げを打ち出しているのである。
店頭には栃尾揚げなどの物販のコーナーも設置している。同店の後背には住宅地が広がり、主婦や学生などが購入しているが、そうした売上げの増強とともに「栃尾揚げの店であることを訴求するのが狙い」と勝俣氏は言う。
その甲斐あって栃尾揚げの注文率はほぼ100%におよぶが、一方で売上げ構成比では10%にとどまる。栃尾揚げの価格は新潟の一般的な価格に合わせて設定。値頃感を打ち出すことで、集客のフックとしての役割を果たすようにしたのだ。
その他のフードはつくば地鶏を用いたもも焼き990円をはじめ、串焼きや刺身、煮込み、揚げ物など、80品以上をラインアップ。日替りメニューには鮮魚を用いた料理も並ぶなど、幅広い品揃えとなるが、そうした主力食材は産地直送で仕入れ、品質の高いものを用いている。
客単価は3500円で推移。勝俣氏は「日常使いできる居酒屋を志向しているので、客単価は3000円くらいが適当だと考えている。一時は3800円まで上がってしまったため、いまは商品構成などを調整しながら客単価を抑え、より使い勝手のよい店づくりに注力している」と説明する。
DATA
TEL.03-3371-3302
営業時間:17時~翌0時
無休
オープン:2009年2月14日
店舗規模:11坪34席
客単価:3500円
月商:400万円
原価率: -
アルコール売上げ比率: -
URL: -