大阪市街の中心地の商業エリアに隣接し、小規模な雑貨店や外食店が点在する住宅街の堀江。その一角にある「しろワイン酒場 コンロ（以下、コンロ）」は連日大繁盛ぶりを見せ、12坪にカウンター13席を含む25席という規模で月商210万円を売り上げている。
　経営母体の㈱カームデザインは店舗デザインの企画・設計を基幹事業とし、多数の外食店の開発に携わってきた。その経験をもとに自社でも外食店を展開しており、コンロはそのひとつとして2010年4月1日にオープンした。
　コンロはビールやハイボール、赤ワインも揃えてお客の幅広いニーズに対応するが、ドリンクメニューの中核に据えているのは店名にも掲げている白ワインだ。「白ワインは飲み口がよく、ワインを飲みつけていないお客さまでも手を出しやすいアイテム。ワインの薀蓄を傾けるような雰囲気とは一線を画して、白ワインをビールや酎ハイ感覚で気軽に飲んでいただきたいと考えています」と店長の炭竈綾子氏は説明する。
　ワインはオーストラリアや米国・カリフォルニアといったニューワールドのものを軸に、イタリアやフランス各地のものも含めて約100種類をラインアップ。中でもひときわ強力な集客のフックとなっているのが、常時4種類を揃えるグラスワイン280円だ。「グラスワインはワイン初心者のお客さまに、まずワインの味わいや楽しさを知っていただくために揃えています」（炭竈氏）。
　また、ボトルワインは1800円のものから1万4000円のグラン・クリュのワインまで幅広く揃える。こうした幅広い品揃えとし、グラスワインでワインの魅力を知ったお客に、徐々に高価格帯のボトルワインに移行してもらうことを狙う。

ずらりと並んだ和風のおつまみは白ワインと好相性

　フードメニューには、カツオ節と昆布のだしを煮含めたおでん1品150円〜や手羽先スモーク280円といった、親しみやすいながらも白ワインと好相性の商品がずらりと並ぶ。価格設定は150円〜とし、原価率34％で定番26品、日替り5〜6品をラインアップしている。
　コンロのオペレーションの特色は、料理は隣接する同じ母体が経営する鉄板焼き店で仕込み、営業ではそれらの料理をパート・アルバイト（PA）のスタッフが温めるのみで提供している点。こうしたオペレーションにすることで料理人を配置せず、常時1人、ピーク時2人の人員配置として人件費を22％に抑制している。
　客単価は2000円。ただ、「目下の目標は客単価を400円引き上げること」と炭竈氏は話す。そのためにコンロでは現在、ドリンクメニューの見直しとフードの新メニューの開発に取り組んでいる。