炙りもつ鍋 プーラビーダ！（プーラビーダ）」は福岡市の中心地である大名エリアに店を構えるもつ鍋専門店だ。雑居ビルの2階という立地にもかかわらず、16坪32席という規模で1日平均45人を集客。客単価3800円で月商440万円を売り上げている。
　プーラビーダは、同じエリアに店を構える「酎厨や プーラビーダ」の2号店として2011年10月にオープン。1号店はチキン南蛮や地鶏の炭火焼といった宮崎のご当地グルメを売りとする居酒屋だが、2つの店の距離が徒歩5分と近いこともあり、オーナーの益留誠氏は顧客の食い合いを避ける狙いから1号店にはないオリジナルメニューの開発に取り組んだ。そうして1年かけて商品化させたのが、もつ鍋と世界三大スープとされるトムヤムクンを融合させたトムヤムクン炙りもつ鍋1280円である。
　モツは厳選した宮崎産和牛の小腸を使用し、鍋に入れる前に地鶏の炭火焼のように炭火の上で転がすように炙って余分な脂を落とす。一方のトムヤムクンにはレモングラスを多めに入れ、モツがさっぱりと食べられるようにしている。
　益留氏は「まずは出身地である宮崎の地鶏炭火焼と、第2の故郷である福岡のもつ鍋を組み合わせました。そうしてそこに個人的に愛して止まないタイの味を取り入れることを思いついたのです」と開発の経緯を説明する。
　プーラビーダでは西京味噌仕立ての炙りもつ鍋旨みそ風味1280円とともにもつ鍋は2種を揃えるが、オープン当初はトムヤムクン炙りもつ鍋の注文率は味噌味と比較して1割にも満たなかった。

締めのトムヤムクンテイストのラーメンも大好評

　そこで益留氏は、もつ鍋を柱に1号店で売れ筋だった宮崎の郷土料理で構成した全12品のコースを導入する。同コースではもつ鍋を2種から選択できるが、6人以上のグループ客の場合は2つの味を食べ比べてもらえるように働きかけ、トムヤムクン炙りもつ鍋のＰＲに注力した。さらに、「発汗作用を促すといわれているカプサイシンや肌にいいとされるコラーゲンがたっぷりの牛モツを使っている点を強調しました」（益留氏）と女性客からの需要を取り込むべく、地道な宣伝活動にも取り組んだ。こうした取組みが功を奏し、現在ではトムヤムクン炙りもつ鍋は来店客のほぼ半数がオーダーする看板メニューとなっている。
　また、トムヤムクン炙りもつ鍋の締めとして提供するラーメンも好評で、お客から単品でのメニュー化の要望の声があがるほどだ。そのため益留氏はトムヤムクン味のラーメンの専門店の出店も視野に入れているという。