東京・小石川にある寺院・伝通院のそばにあるイタリア料理店「チッタアルタ」。オーナーシェフの茂呂岳夫（もろたけお）さんは、都内のレストランで修業後、渡伊。ミラノの日本料理店を経て、星付きのリストランテなどで約7年間修業を積む。その際、当時の修業先「ダ・ヴィットーリオ」（ベルガモ）のシェフの紹介により、スペインの「エルブジ」でも、約9ヵ月間学んだ。
　夜のメニューは、アラカルトもあるが、ほぼすべてのお客が注文するのが5500円のおまかせコース（前菜3皿、パスタまたはリゾット2皿、メイン、デザート2皿）だ。「エルブジで学んだ現代的な料理を作りたい気持ちもある。しかし、さまざまな年代の方が来店するこの場所で、そのような料理ばかりだとお客さまの満足感は得られにくい」（茂呂さん）。そこで、ダ・ヴィットーリオのコーススタイルを踏襲し、前菜、デザートには現代的な料理を提供。それに対し、パスタまたはリゾット、メインにはオーソドックスな料理を提供し、楽しさと親しみやすさを兼ね備えた構成で、料理を考える。
　たとえば、飴色になるまで炒めたタマネギ、スクランブルドエッグ、ジャガイモのエスプーマを層にした「スペイン風オムレツの再構築」は、前菜の定番になりつつある品。一方、メインは肉料理を中心に、塩のみで調味した「佐賀の酵素ポークのロースト」や、時季によってはジビエ料理を提供することも。そしてデザートでは、液体窒素などを使った演出的要素の強い品が登場する。なお、5500円という価格設定も、「いつでも気軽に来てもらえるような価格帯にしたかった」という茂呂さんの思いがあったから。
「今後は、お客さまのリクエストに応え、ランチでもコース料理を提供できればと考えています」と、茂呂さんは語る。