多摩モノレール上北台駅より徒歩5分。東京の郊外、東大和市の住宅街にある「ダンルシャン」は、小嶋幸雄さんが開いたフランス料理店だ。同市出身の小嶋さんは、「いつの日か地元で独立をしたい」という夢を胸に、都内のフランス料理店で修業後、渡仏。「ピエール・ガニェール」（パリ8区）をはじめ、フランス各地のレストランで２年半修業を積み、帰国後は「シェ・ソーマ」（東京・自由が丘）のシェフを経て、独立を果たした。
　夜はプリフィクスの4500円、おまかせの7000円の2種類のコースの他、アラカルトを約20品用意。「地域に密着した店を作りたい」という考えのもと、東大和市の野菜を中心に据えて料理を構成する。中でも、前菜で提供される「東大和市の農園から旬の野菜のテリーヌ」はとくに力を入れている品。春はみずみずしい生の春キャベツと、表面のみ軽く火入れしたマグロの中トロを合わせた春キャベツのテリーヌ、夏は種と水分を抜いて果肉をつぶしたトマトを、ナスで包んで冷やし固めたトマトのテリーヌ、といった具合に地元産の旬の野菜の魅力を全面にアピールした一品だ。
　コースのアミューズでは、一皿目が出るまで不自然な間を作らないよう、フランスパンとともに手作りのリエット、フルーツジャム、そして地元産の野菜で作るピュレを供し、パンとともに自由に味わえる趣向とした。また、主菜はさまざまな要望にこたえたい、という思いから「黒毛和牛ザブトンのグリエ」や「仔豚の岩塩包み焼き」など、幅広く揃える。
　常連客もついてきた今、さらなる飛躍をめざす小嶋さん。「今後も、料理を通して東大和市の野菜の魅力を発信するとともに、より多くの方に親しまれる店作りをしていきたい」と話す。