東京・白金高輪駅から徒歩8分、大通りから一歩入った静かな通りにある「ヴィノテカ キムラ」は、オーナーシェフの木村博人さんが一人で腕をふるうイタリア料理店だ。
　木村さんは、山田宏巳氏（「ヒロソフィー」（東京・銀座）オーナーシェフ）が料理長を務めていた表参道の「バスタパスタ」に入店し、米国のニューヨーク店も含め計7年間在籍。その後、イタリアに渡り、ミラノの日本領事館専任のシェフなどを務めた後、独立した。開業する際、木村さんは一人で店を切り盛りすることを前提に「堅苦しくない、気軽にワインと料理を楽しめる店」をめざした。
　料理はアラカルトのみで約30種。その半数は、7種の自家製のパテや生ハムなどを大皿に盛った「お肉屋さんの前菜」2500円など、ボリュームのある前菜が占めている。これは「最初の一皿でお客さまに時間をかけて食べていただくことで、次の料理に余裕を持って取りかかれる」（木村さん）ことが狙いだ。
　また、時には〝イタリア料理〟の枠を超え、「骨付きボンジリのソテー」1200円や、「せせりのボリート サルサジャポネーゼ」1400円など、お酒との相性の良い、創作的な料理も用意している。なお、せせりの料理は、福岡の郷土料理、水炊きをモチーフにした品で、鶏の首肉とキャベツを鶏のだしで煮込み、そこにオリーブオイル、ポン酢を加え混ぜて食べる前菜料理。
　その他、パスタはスパゲッティーニを中心とした乾麺のみで、トマトとモッツァレラ、ゴルゴンゾーラのクリームソース、カラスミと松ノ実などのオーソドックスな品を約10種揃える。「パスタは冷製、スープ仕立てなど季節によっても頻繁に変わりますが、いずれもお酒を楽しんだ後の〝食事の〆〟としても味わっていただきたい」と木村さんは話す。