東京・三軒茶屋駅から徒歩10分ほどの世田谷通り沿いに立地する「レストラン テズ」は、オーナーシェフの浅野哲也さんと、サービスとデザート担当の夫人・雅子さん2人で切り盛りするフランス料理店だ。浅野さんは、24歳の時に渡仏。店名の由来にもなっている、南仏の村「エズ・ヴィラージュ」のレストランなどで、計2年間修業を積む。帰国後、都内のフランス料理店を経て「サンス・エ・サヴール」（東京・丸の内）へ。同店で夫人の雅子さんと知り合い、結婚を機に独立を果たした。
　夜のメニューはおまかせコースのみで3500円、5500円、7000円の3種類。料理は「素材が本来持つ旨みを最大限に引き出す」ことを念頭におき、その日の食材を見て、毎日決めていくスタイルだ。中でも浅野さんが重視するのが野菜。たとえば、初めて来店されるお客に必ず提供するアミューズ「ちょっと変わったラタトゥイユ」は野菜の旨みを凝縮させた一品。グラスの底に濃厚な野菜のピュレを敷き、その上に小角切りにしてオリーブオイルで炒めたズッキーニ、パプリカなど触感のある野菜をのせて、さらに清涼感のあるトマトのコンソメジュレをふりかける。また、前菜などの付合せの野菜でも白カブはポワレ、赤カブはコンフィ、カブの葉はピュレといったように、同素材の調理法を変えることで野菜の触感や風味を際立たせている。一方、コース3品目に提供する旬の野菜を使ったスープでは、「キクイモと鴨のコンフィ」のように、肉料理をスープに忍ばせて満足感を高める工夫も。
　今後は「一皿ずつの完成度を高めていきたい」と語る浅野さん。また今は主菜の肉料理は、牛、豚、鴨などオーソドックスな素材のものが中心。「様子を見ながらジビエや内臓料理なども提供していきたいですね」と話す。