「私自身がお酒が好きで、食事とともにお酒を楽しみたい」と話す金田真芳さん。東京・青山にあるリストランテ「フェリチタ」に5年半勤めた後、″自らが行きたい店″を念頭に置いた、イタリア料理と自然派ワインを気軽に楽しめる「ブリッカ」を開いた。
　同店の黒板には、約30種の単品が並ぶ。仕込みはサービス担当者も手伝うが、基本、調理は金田さん1人。人手に対して品数が多いが、これは「いろいろ選べると楽しいと思うから」（金田さん）。ひと皿の量も抑え、お客が多くの品を注文できるよう配慮する。ただし提供までの時間が長くならないよう、事前の仕込みが可能で、営業中は皿に盛るだけ、温めるだけなど簡単な調理で済む品も多く扱う。
　内容は、「ナスとナッツのパテ バジル風味」（400円）などのつまみや、「牡蠣のフリッタータ」（950円）といった前菜的な品、手打ちも含めた約7種のパスタと、「沖縄産皮付ばら肉のコンフィ」（1200円）など肉が主役の品。これらを前菜、パスタ、主菜、などのカテゴリー名を掲げずに記す。型にはまらず気軽に食べたい品を選び、好きな順番で食事を楽しんでほしい、という金田さんの考えだ。なお、お客に好評な品に「蝦夷鹿のハンバーグ」（1700円）がある。これは、粗挽きシカ肉と豚の背油、パン粉、卵を合わせて焼き、塩とオリーブオイルで調味した品でソースは用いない。旨みの要素を重ねすぎず、素材の旨みを素直に表すことを、金田さんは重視する。
　これらの料理とともに供するのが自然派ワインだ。飲み慣れない人でもなじみやすいものを多く扱い、グラスで約10種を揃える他、要望に応じてそれ以外をグラスで出すことも。「自然派のおいしさを知っていただけたら何よりです」と金田さん。カウンターを中心に、店主との会話を楽しみに尋ねる常連客が増えている。