ひもの野郎 梅田店(大阪)
魚を火山灰で包んで脱水し、旨み成分を濃厚にする魚の干物の一種である「灰干し」。この灰干しを看板商品に、昼は定食店、夜は居酒屋として20坪40席の規模で連日約180人を集客し、月商380万円を売り上げるのが大阪・梅田の「ひもの野郎」梅田店だ。昼と夜の客数比率は7対3。
灰干しの生産地である和歌山県出身のオーナーの長谷達也氏は「灰干しは近畿有数の漁場である紀伊地方では日常的に食べられています。そのおいしさをたくさんの人に知ってもらいたいと開業しました」と話す。2011年7月に大阪・南船場に9坪16席の1号店を開業。12年1月に梅田店を出店した。客単価は昼700円、夜1700円で推移する。
長谷氏はビジネス街に出店した狙いを「時間のないオフィスワーカーはおいしい料理を提供していれば必ずリピートしてくれると考えた」と説明する。昼は灰干しをメインにした700~890円の定食をラインアップし、ピーク時でもツーオーダーで魚を焼きあげて提供。手づくりのクオリティをアピールして夜の集客につなげている。
夜の営業ではフードメニュー約20品を提供。核商品である灰干しは和歌山県の塩干加工会社3社から仕入れ、アジやサンマ、カマス、イカ、アイゴ(スズキ目の白身魚)、ツボダイなどの灰干し9種、みりん干し3種を590円を中心に390~690円の価格帯で揃える。また、灰干しなどの干物は提供までに5~10分を要することから、梅ひじき180円や金山寺味噌を使った金山寺マヨキュー490円といった和歌山産品も取り入れた8品の酒肴をクイックメニューとして用意する他、灰干しのサケのほぐし身を使った鮭茶漬け450円などごはん類も5品揃える。
昼は定食店、夜は居酒屋の2毛作で1日200人超を集客
ドリンクは「薄利多売がモットー」(長谷氏)で、発泡酒180円、グラスで提供する4種の焼酎は350円~、5種の日本酒は1合300円~という品揃え。干物と相性のよい銘柄を揃えており、そのお値打ち感から価格にシビアな男性オフィスワーカーのリピーターを獲得している。お客の実に5割が40代~60代の男性オフィスワーカーだ。
ひもの野郎において注目すべきなのが、48%を誇る原価率。長谷氏は「鮮魚と違って保存でき、仕込みも調味も不要な干物は上質なものでなければ価値を訴求できません」と話す。一方で、従業員はオーナー以外をパート・アルバイトとして人件費率を17〜18%にとどめてバランスを維持。厨房機器も干物を焼くサラマンドル以外はできるだけシンプルにして出店コストを圧縮している。
今後は梅田店が月商400万円に達するのを目処に首都圏進出を狙う。
DATA
TEL.090-2196-5186
営業時間:11時30分~23時10分(L.O.)
祭日定休
オープン:2012年1月
店舗規模:20坪40席
客単価:1700円
月商:380万円
原価率: 48%
アルコール売上げ比率: 50%
URL: http://r.gnavi.co.jp/kafe901/