大麦や雑穀などの多様な穀物食材を提供している(株)はくばくは、2024年5月20日(月)から6月9日(日)までの3週間「ととのうランチフェア」を1都5県26の飲食店で開催し、好評を博した。「混ぜるだけもちもち十六穀」「混ぜるだけ雑穀ごはん」のいずれかを使用したオリジナルのランチメニューを各店が考案。ご飯に混ぜて炊くものというイメージが強い同商品の、多様な食べ方、楽しみ方を紹介した。本稿では、参加店のひとつである東京・小石川のイタリア料理店「タンタローバ」林 祐司シェフに「ととのうランチフェア」商品に対する来店客の反響や同社商品の使用感について聞いた。
はくばく:「タンタローバ」さまは、昨年に続いて2回目の「ととのうランチフェア」参加となります。前回は「混ぜるだけ雑穀ごはん」、今回は「混ぜるだけもちもち十六穀」を使用したメニューをご提供いただきましたが、お客さまの反響はいかがでしたか?
林:今回は「混ぜるだけもちもち十六穀」を使って「十六穀入りミートクリームスパゲッティ」を提供しましたが、連日仕込んだ20食分を完売するほどの好評ぶりでした。当店は東京・小石川に店を構えていて主客層が地元住民か近隣企業の会社員です。1日60〜70人を数えるランチ客のうち8割を30代〜60代の女性が占めて、週に3回も利用されるヘビーユーザーもいます。注文されるお客さまの大半が女性でしたが、十六穀ごはん(以下十六穀)が健康に良いという認知度も高く、罪悪感なくミートソースが食べられたという感想を聞くこともありました。特典の「十六穀ごはんスティック」を差し上げると、ご自宅で愛用していると言われるお客さまが多く、思っていた以上に家庭に浸透していることを知りました。ご飯に混ぜる以外の使い方を初めて知ったという声も多かったですね。
はくばく:それは当社としても嬉しい感想です。ご飯に混ぜて炊く以外の利用法を知っていただくことも本フェアの目的のひとつでしたが、ミートソースに雑穀を混ぜる林シェフのアイデアは驚きました。実際の調理はどのようにされたのでしょうか。
林:ベースとなるミートソースは通常のボロネーゼを作るときと同様に赤ワインをたっぷり使って煮込んだもの。これに調理のタイミングで2:1の割合で「混ぜるだけもちもち十六穀」を合わせて、パスタにしっかり絡めます。1食に約40gの「混ぜるだけもちもち十六穀」を使っていますから、なかなかの存在感です。十六穀の食感を引き立てるため、挽肉のメッシュをいつもより細かくする工夫をしました。挽肉だけとは異なり、もち麦などのモチモチした歯ごたえや、発芽赤米やもちきびのプチプチとした食感が加わってより食べ応えのあるミートソースになりました。しっかりお肉を食べたのに、むしろ健康に良いものを食べたという気持ちにさせてくれます。
はくばく:今回ご使用いただいた「混ぜるだけもちもち十六穀」は2024年4月に発売された新商品です。調理不要で、開封して混ぜるだけで完結する「混ぜるだけ」シリーズの3品めになります。実際に使用してみた感想をお聞かせください。
林:まず封を開けてそのまま使えるので、感覚的に敷居が大きく下がりました。水に漬けて炊くとなるとそれなりの調理負担になりますから助かります。手軽に使えるようになると、前菜にトッピングしてみようかとか、ソースに加えてみようか、といった具合に使用法のアイデアをいろいろと思い浮かべやすくなります。レトルトパックなので常温で長期間保存でき、100gと少量パックであることも便利。日替わりメニューに変化をつけたいときなどスポット的な使い方ができます。気になるほどではないものの、封を開けた瞬間はレトルト臭や穀物ならではの苦みが感じられる。イタリア語ではブランシールと言いますが、軽く湯通ししてアク抜きすることでクセを取り除き、雑穀のうま味を引き出すことができます。
はくばく:イタリア料理でも雑穀を使う食文化はあるのでしょうか。
林:十六穀のような商品は見かけませんが、穀物や豆類を使った料理は多彩です。そのまま使うサラダやリゾット、スープ。すりつぶして使うポレンタ、クロケット、フムスなど。それを考えると、日本はご飯に混ぜて炊く以外の調理法が広まっていない印象です。イタリア料理のほうが調理法のヒントが多いのではないでしょうか。
はくばく:当社としても十六穀の多様な食べ方や楽しみ方を消費者に提案していきたい。その思いから様々なカテゴリーの飲食店さまのご協力のもと「ととのうランチフェア」を企画しています。今回林シェフはグループのレストラン「ザ・モメンタム・バイ・ポルシェ」でもご参加いただきましたが、提供されていたサラダ「十六穀のクロッカンテ ミスティカンツァ」はメーカー発想ではとうてい思い付くことができない調理法をされていて感動しました。
林:ランチコースの前菜として提供するサラダに使用しましたが、そのままサラダにトッピングするだけでは独自性がありません。そこで十六穀をすりつぶして揚げ焼きした「クロッカンテ」に仕立てました。本来のモチモチ食感とは異なるカリッとした歯ごたえがサラダのクルトン代わりとして食べごたえあるものにしますし、何より香ばしい香りが印象的でサラダのレベルを引き上げてくれました。
「ザ・モメンタム・バイ・ポルシェ」はドイツの自動車メーカー「ポルシェ」のショウルームに併設された世界唯一のポルシェ公認レストラン。お客さまは料理にもポルシェ・ブランドに相応しいステイタスや世界観を求めていらっしゃいます。より健康に寄与する食材、より環境に優しい生産方法をしている食材を選ぶことがブランド哲学を表現することにつながってくる。その意味では十六穀の持つ健康イメージは相性がよいと感じています。実はこのランチフェアとは別に十六穀を練り込んだ自家製パンを提供しているんです。
はくばく:それは嬉しいですね。どのようなパンですか?
林:これまではごくオーソドックスなフォカッチャを自家製して提供していました。今は十六穀を練り込んだ自家製パンを加えた二種類をお出ししています。これによりお客さまの健康を願うレストランの姿勢を打ち出せます。クオリティ面でも表面はカリっとした食感とともに香ばしい香りが増し、中はふっくらしたパン生地にモチっとした雑穀のアクセントが入って満足度が高まりました。
健康、食感、風味をキーワードに、混ぜるだけで料理の付加価値を高めてくれる「混ぜるだけもちもち十六穀」は、我々のようなメニュー開発者にますます重宝される食材になるのではないでしょうか。