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INTERVIEW

DATA

㈱ドリマックス
埼玉県川口市中青木5-9-13
☎048-254-1231
創業:1960年
資本金:1000万円
事業内容:野菜加工機器の開発、製造、販売
http://www.dremax.com/

 1950年創業。野菜加工機器の専門メーカーとして、人の手で行なうさまざまな加工技術の機械化に成功し、大規模な食品工場からチェーンレストランのセントラルキッチン、小規模店のキッチンまで、そのニーズに応じたマシンをきめ細かく開発している。
 スライスや千切りをするもの、ダイスカット専門のもの、オロシに特化したもの、ハクサイ・キャベツの₄つ割用、白髪ネギシュレッダーなど、用途に合わせた専用のマシンが揃っているのが同社の特徴である。
 また、導入する施設で求める処理能力に応じた大型・中型・小型の機械をラインアップしており、これによりニーズにジャストフィットした機器を選ぶことができるのも魅力のひとつだ。
 同社が特許を取得している丸刃遊星回転方式は野菜の断面を傷めずにカットできる、0.5㎜以下のスライスが可能で、清掃が簡単などの優れた特徴をもっており、同社のスライサー類に搭載されている。

外食産業の未来を占う 産業を支えてきたビジネスサポーターたち
野菜類加工機器の分野で他の追随を
許さない高品質のマシン群を開発する

㈱ドリマックス

代表取締役
松本英司

機械でしかできない新しい料理の開発に貢献したい
──ニーズに合わせてバラエティに富んだ機器を開発してこられましたが、現在何種類あるのですか。

 60種類以上あります。私が先代社長とともに仕事をはじめたのは17年ほど前ですが、当時は7~8種類だったと思います。この間にかなり増えました。
 私どもの商品開発の基本はお客さまのニーズありきです。こんな機械ができないか、こんなことに困っているというお話をいただき、それを解決するために機器を開発する。それを継続した結果、いまのようなラインアップになったわけです。

──野菜をカットするという分野で御社の機械は他にない卓越した能力を持っています。その技術のポイントはどこにあるのでしょう。

 独自の技術として「丸刃遊星回転方式」というものを開発しました。これは丸刃を回転させながら同時に回転盤を回転させ、引き切りにするという自転公転の機構です。これでカットした野菜は断面がシャープです。従来の丸刃を回転させて切るだけでは、断面がそこまでシャープにならず、そのぶん表面積が増えるので、菌が繁殖しやすいし、傷みやすい。この欠点を丸刃遊星回転方式で改善しました。また可動部の部品点数を減らし、防水、防塵の能力を高めることで、清掃が簡単で、故障が少ないのも特徴です。
 この技術を使ったマルチスライサーDX–1000は野菜投入口を交換することで、千切り、スライス、ツマ、針ショウガなどさまざまなカットがスピーディに行なえて、衛生面、耐久性の面でも優れているという評価をいただき、大手コンビニエンスストアさんの工場などで導入していただいています。

──大型、中型、小型と処理能力の違う製品ラインを持っていますが。

 お客さまの規模、用途によって必要な処理能力が違いますから、それに合わせて機械を用意しています。大型、中型は食品工場やチェーンレストランのセントラルキッチンなど、小型の機器は店舗で使っていただくことを想定しています。この大・中・小の品揃えは他社にはない、当社の特徴だと思います。
 大型の機械の場合はお客さまのニーズにジャストフィットさせるため、特注になるケースもあります。

──従来廃棄処分されていた、おでん用大根の不要部分が御社の機械により商品化されたとお聞きしました。

 おでん用の大根は、食品工場で均一の形に揃えてカットする過程で、7割近くが廃棄されており、非常にもったいない。そこでその不要部分を当社のツマやショウガスライスのための機械、スーパースライサーに投入して、切り干し大根用にカットすることに成功しました。
 それまでコストをかけて廃棄していたものが、売れる商品として再生するわけですから、大変喜んでいただきました。
 先ほどお話ししたマルチスライサーは、曲がりキュウリ用ワイド投入口をつくりました。そのままでは商品価値の低い曲がったキュウリをカットすることで、より価値のあるものにできます。

──なるほど、食材をむだなく活用することは機械を開発するうえで重要なテーマのひとつになりますね。

 そうですね。野菜をカットするという機能だけでなく、付加価値をつけることに機械が貢献しているわけです。また、機械を使うことで、人の手ではできない商品が生み出されるということもあります。
 たとえばトンカツ専門店でキャベツの千切りのお替わり自由というサービスが定着していますが、機械を使うからふわっとしたおいしい千切りが効率的につくれる。手切りではできない食感があります。これは機械があるから実現したことではないでしょうか。
 機械は手作業の代用品と考えるのではなく、機械は料理の道具の延長線上にあると捉えれば、機械から食文化が生まれることに不思議はありません。この部分をもっともっと提案していきたいですね。
 いま当社で提案しているのはカボチャスティックを使った料理の商品化です。従来のポテトスティックをつくる機械ではできなかったカボチャのカットが、当社の機械でできるようになりました。この技術を活用して、新しいメニューをつくれないかと考えています。

──ユーザーの要望に応えることにとどまらず、機械を使うことでできる新しい料理の提案もしていこうと。

 その通りです。すでにイタリア料理や和食の料理人の方々とコラボレーションして、新しい料理の提案をしています。
 マルチツマDX–70という機械は刺身のツマやカツラむきのためのものですが、アタッチメントをつけると網造りもできます。通常和食で使う網造りをイタリアンに応用し、じゃがいもの網造りを素揚げして、シーフードの上にかける料理をイタリアンのシェフに創作していただきました。これは和食の高度な技術を機械で再現して、和食以外の料理に活用してはどうかという提案です。

──海外進出の計画を進めているとのことですが。

 日本以外でも調理機械のニーズは確実にあるはずです。まず力を入れようと考えているのは中東のドバイです。ドバイには富裕層のためのエンタテインメント施設が充実していて、レストランも内装、料理、盛り付けとそれぞれに高い品質が求められています。
 そういう中で、当社の機械を使い、現地のシェフとコラボレーションした料理の提案を行ない、ニーズを開拓したい。ドバイ市内でもカット野菜を販売していますが、カットが不揃いだったり、日本と比べると質の面では遅れています。そこにビジネスチャンスがあると考えているのです。来年2月にドバイで展示会を開く計画です。
 
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