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INTERVIEW

DATA

㈱エフ・エム・アイ
大阪府大阪市鶴見区放出東3-11-31
☎06-6969-9390
創業:1971年7月
資本金:3630万円
事業内容:厨房用機器の輸入・製造販売を通し、豊かな外食文化を発信していくこと
http://www.fmi.co.jp/

 1971年、大阪で創業した㈱エフ・エム・アイ。フードプロセッサーなどの下処理機、スチーム・コンベクション・オーブン、コーヒーマシン、アイスクリーム・ジェラートフリーザーなど、世界中の高品質な業務用厨房機器を日本にいち早く紹介してきた。また創業以来、輸入販売と並行して自社開発も継続している。コーヒーマシン「カフェトロン」シリーズは、現在もロングセラーとなっている。さらにシェフ、バリスタ、パティシエといったコンサルティング集団を擁し、それぞれのマシンに対するソフト面のバックアップ体制を構築。74年に東京支店(現・東京本社)を開設し、全国11ヵ所の営業所・サービス拠点で自社社員によるきめ細かいビフォーサービスとアフターフォローを実施している。取扱製品の内訳は現在のところ80%が輸入製品、20%が自社製品。今後は海外の生産体制も強化する考えで、海外進出した顧客のサポートを含め、グローバル企業への歩みをはじめている。

外食産業の未来を占う 産業を支えてきたビジネスサポーターたち
高品質な厨房機器をいち早く紹介し
外食業界の機械化・効率化に寄与してきた

㈱エフ・エム・アイ

代表取締役社長
木本武雄

世界中が実力を認める日本の外食産業のシステムを優れた機器の提供を通して支援
──御社が創業した1970年代はファストフードの開業が相次ぐなど、外食産業のシステム化が一気に進んだ時代でした。

 私は家電メーカーで海外担当の営業をしていましたが、ちょうど外食産業の“機械化元年”と呼ばれた時代で、そこに参入すべく当社を設立しました。レストラン、カフェ、ホテルをメインマーケットに、プロフェッショナルの作業を効率化する厨房機器の輸入・製造販売を行なってきました。

──先駆け的に導入された商品も多いと思いますが、躍進のきっかけとなった商品はありますか

 業務用フードプロセッサー「ロボ・クープ」はわが社のルーツであり、いまなお主力製品です。フランスのロボ・クープ社の製品で、世界200ヵ国に輸出されています。73年に日本における独占販売権を獲得し、これまで20万台以上を売り上げています。応用範囲が広く、最近では食品検査や病院給食の現場でもスタンダードになりつつあります。

──多岐にわたる商品をどのように開拓されてきたのですか。

 まずロボ・クープは辻静雄先生(辻調グループ校創始者・故人)にご紹介いただいたもので、数多くのトップシェフに愛用いただいています。これを機に料理界とのネットワークが広がり、多方面の情報を得られるようになったことが、その後の商品展開に大きく影響しています。
 また84年にジェラートマシンの輸入販売をはじめたこともエポックのひとつです。当時はジェラートがまだメジャーではなかったこともあり、つくり方、使用する食材、コスト面、さらには出店計画まで、トータルな提案が必要と考えました。それが当社の武器である“コンサルティング・セールス”をスタートするきっかけになりました。

──マシンだけでなく、ソフト面のサポートも徹底されるようになったのですね。

 ええ、当社の社員にはシェフ、管理栄養士、バリスタ、パティシエ、ジェラティエーレといったプロのコンサルティング集団が揃っています。彼らがマシンの使用法から提供方法、メニュー開発まで全面的にサポートします。さらにスチームコンベクションオーブンと急速冷凍機を導入したことにより、こうしたサポートとのパッケージセールスを開始しました。これらの販売にはクックチル、真空調理といった新調理のコンサルティングが必要で、社員シェフが最前線で活躍しています。

──今後、力を入れていく商品はありますか。

 ジェラートをベースにしたフローズンデザートやドリンクはこれからも市場を拡大していくと思います。地球温暖化に加え、口当たりのいい食感は現代の日本人の嗜好にマッチすると考えるからです。またカフェブームもまだまだ続くと考えており、ジェラートマシンやエスプレッソマシンの販促には引き続き力を入れていきます。あとは海外進出されるお客さまのサポートですね。
 言うまでもなく日本の外食マーケットは飽和状態で、多くの企業が海外出店を進めています。ハイテク産業の輸出に加えて、これからは、日本のホスピタリティ産業が輸出される時代が到来すると捉えています。実際、日本の外食産業システムは海外で十分に「売れる」はずです。日本人の伝統的な才能である繊細さや緻密さから生まれたサービスやオペレーションは、それだけでパッケージになりますよ。アジアはもちろん欧米でも勝算はあると思いますし、私たちはそれを厨房メーカーとしてバックアップしていきます。

──現在の具体的な取組みを教えてください。

 中国語圏に事務所をつくり、現地の技術者と共同開発を行なう体制を構築しているところです。当社では海外製品の販売にあたり、使いやすさ、耐久性、安全性まで配慮し、日本人向きの改良を行なっています。こうしたきめ細かい取組みが差別化要素と考えており、海外においても日本人の感覚をもって改造した製品を提供していく意向です。

──日本の外食企業が海外で勝ち組となる秘訣について、サポートする立場からどうお考えですか。

 日本の外食システムは「売れる」と話しましたが、これは日本の良さをシステムごと輸出するという意味です。これを成し遂げた企業は概して成功しています。逆に、現地に迎合した“日本風”なるものを提供している企業は、私が知る限りは苦戦されています。日本で盤石な基盤を築いていることが前提ですが、日本流をかたくなに守り、さらに信頼のおけるパートナーが見付かれば海外で必ず成功すると思います。

──海外進出で御社の強みとなるものは何ですか。

 ひとつはコンプライアンスを重視してきたことです。当社の製品には「商品衛生法検査合格部品使用製品」というステッカーがついています。
 これは厚生労働省の承認を得てつくったものです。製品を輸入する際に部品の検査を受けるわけですが、検査費用に数百万円を要する場合もあり、半ばグレーゾーンになっているのが現状です。しかし当社ではどんな小さな部品もすべて検査を通過させています。日本の厳しい品質基準に合格していることは、海外でも全面に打ち出していく考えです。

──日本のお墨付きは海外でも強力な信頼の証しとなりますね。

 はい。また当社では、取扱い商品をコーヒーマシン、ミキサーなど5つにカテゴライズしていますが、6番目の商品に位置付けるのが「アフターサービス」です。たとえばお客さまが少しでもお困りになれば、自社のサービスマンによる即対応はもちろん、採算は度外視してフォローします。この徹底したお客さま第一主義も武器としながら、世界を舞台にビジネスを展開していく計画です。
 
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