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INTERVIEW

DATA

日本洗浄機㈱
東京都大田区鵜の木2-43-14
☎03-3750-4451
設立:1969年5月24日
資本金:5000万円
事業内容:業務用食器洗浄機、調理機器などの製造および販売、それに付帯する業務
http://www.n-sen.com/

 1969年の創業以来、業務用厨房機器に特化した開発・販売を続けてきた日本洗浄機㈱。食器洗浄機の「サニジェット」シリーズ、自動調理機器の「サニクック」シリーズ、食器ディスペンサーの「サニストック」シリーズが主要な取り扱い製品で、㈱ゼンショーなどを筆頭に大手外食企業での導入事例も多い。
 数多くの特許を取得するなど、独創技術を駆使して「均質化」「省エネ化」「安全性」を柱とした革新的な厨房機器を次々と開発しているのが特徴だ。とくにそば・うどんなど日本独自の領域においては業界随一の技術力を誇り、同社の「無沸騰噴流麺茹で機」は省エネ型麺茹で機の先駆的な調理機器である。
 企業と共同開発を手がけることも多く、最新製品である「全自動だしつゆメーカー」は和食ファミリーレストランとともに開発。だしつゆを全自動で調理して湯煎保温するもので、密封構造によって湯煎時のだしつゆの品質劣化を防止するなど、随所に独創技術が盛り込まれている。

外食産業の未来を占う 産業を支えてきたビジネスサポーターたち
創業から42年。独創技術を駆使した
厨房機器の開発で、外食の産業化を後押し

日本洗浄機㈱

取締役会長
中川公明

外食産業は宝の山。現場のムダを洗い直せば伸びしろはまだまだ大きい
──これまで御社では外食産業とどういったパートナーシップを築いてきましたか。

 当社の創業は1969年まで遡ります。私はそれ以前に超音波洗浄機の企画開発に携わっており、そこで培った技術をもとに、40年以上にわたって店舗運営の省力化、省エネ化をサポートする業務用厨房機器の開発に邁進してきました。
 社名にも表れているように、当社の主力製品は食器洗浄機になります。現在、「サニジェット」シリーズは20種類以上の食器洗浄機を用意していますが、その開発は80年代はじめに「吉野家」さんから受けた依頼がきっかけになっています。
 それまでの食器洗浄機は欧米に倣った製品が主流で、日本にはそぐわない要素も多かった。吉野家さんからは丼に適した洗浄力、24時間営業に耐えられる耐久性、どこよりも安い価格競争力という非常に難しい課題をぶつけられましたが、技術力を駆使してその条件をクリアした食器洗浄機を生み出したのです。
 サニジェットには11もの独創技術が搭載されています。これまで改良を重ね、機能性や精度などは進化していますが、基本となる性能は当時とほとんど変わっておらず、“究極の洗浄機”の完成度だと自負しています。

──食器洗浄機以外にも、さまざまな厨房機器を開発しています。

「サニクック」シリーズとして麺茹で機やスープディスペンサー、自動餃子焼き機、「サニストック」シリーズとして食器ディスペンサーなどをラインアップしています。
 外食産業が発展するにしたがい、多様な業種業態の現場で効率化が求められるようになりました。それに応える形で手がける製品の幅を広げてきたわけですが、その中で私が常に重視してきたのは一歩先を見据えた製品を開発することでした。
 たとえば、当社の麺茹で機には25年前に特許を取得した「無沸騰噴流方式」という独自技術が備えられています。麺をしっかりと茹でるには、沸騰による噴流で麺を踊らせながら茹でるのが常識。無沸騰噴流方式では湯温を98℃にキープしながら、モーターによる噴流で麺を茹であげる仕組みになっています。
 ポイントは沸騰させずに麺の茹であげの均質化を実現したことです。湯の沸騰には保温に比べて2倍以上の熱量が必要。また、余分な熱量は湯気となって厨房内に放散されるため、労働環境の悪化にもつながります。無沸騰噴流方式ならエネルギーロスを大幅に抑えられ、従業員のストレス軽減にもつながるわけです。
 ただ、販売当初のマーケットの反応は鈍かったですね。外食市場が急成長を遂げる中で、各企業は事業規模の拡大に執着し、省エネなどに目が向かなかった。
 しかし、外食産業が成熟化していけば、かならず省エネが求められるようになるはずだと、製品の改良を重ね続けてきました。

──確かにここ数年で業界の省エネへの関心が高まっています。

 97年をピークに外食の市場規模が縮小に向かいはじめたことで、各企業は一転してコスト削減に力を入れるようになりました。それに比例して当社の麺茹で機も10年前から販売数が伸びるようになり、いまも右肩上がりを続けています。
 私は「均質化」「省エネ化」「安全性」を重点課題として厨房機器の開発に取り組んできました。食器洗浄機でも洗浄力を強化しながら、従来タイプの洗浄機と比較してすすぎ湯の使用量を約65%に抑制。中には特許を取得したにもかかわらず、時代が早すぎると製品化に至らなかった技術もありますが、それも貴重なノウハウとして蓄積されています。

──そうした発想はどこから生まれるのですか。

 創業から40余年、外食産業の変革をつぶさに見続けきましたが、その中で常に現場のムダに注意を払い、エネルギーを最小に抑える技術を追求してきた結果でしょう。
 ファストフード(FFS)を筆頭にオペレーションのシステム化が進んいますが、いずれの業種業態についても改善の余地はまだまだ大きい。そういった意味で外食産業は宝の山と私は捉えています。

──東日本大震災の発生以降、電力不足が深刻な社会問題になっており、省エネ化の技術はますます重要になっていきそうです。

「省エネ化にあらゆる手を尽くしてきた」という外食経営者の声をよく聞きますが、ムダを徹底して省くには発想を180度変えて業態を見つめ直す必要があるでしょう。
 たとえば、セルフうどん業態では“茹でたて”を訴求するために麺茹で機からもうもうと湯気を立ち上げていますが、湯気とともに大量の熱も放出しています。釜に蓋をするだけでもエネルギー効率が格段に改善され、厨房内の温度も下がるので夏場の冷房費も削減できます。そういったところから改革のメスを入れ、省エネ化に取り組まなくてはならない段階に入っていると思います。

──今後、御社は外食産業の中で、どのような役割を果たしたいと考えていますか。

 これまで当社では省エネなど技術開発では常に業界のトップをきってきたと自負しています。売上げ規模やシェアの拡大を求めるのではなく、個々のクライアントのニーズに適した高性能な新製品を開発し提供する。今後もその方針を貫いていくつもりです。
 一方、いま外食産業の中では和食FFSに注目しています。牛丼についてはすでに市場が確立されていますが、セルフうどんをはじめ、そば、天ぷら、かつ丼などを主力とした和食FFSの市場がこれから活性化すると考えています。そこでは既製の厨房機器では対応できない課題が山積されており、それを解決する製品を編み出すことで、その発展を後押ししたいと考えています。
 
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