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INTERVIEW

DATA

北沢産業㈱
東京都渋谷区東2-23-10
☎03-5485-5011
創業:1951年3月
資本金:32億3554万6415円
事業内容:食品加工機械・調理機器、製菓・製パン機器の販売、厨房設備設計・施工、保守等
http://www.kitazawasangyo.co.jp/

 プレパレーションライン、コールドフーズライン、ホットフーズラインなど7つの基本ラインで構成する業務用厨房機器で、外食業のキッチンを強力にバックアップする。自社ブランドとともに、海外の有力メーカーの代理店として、多数の優れた厨房機器を日本の外食業に届けている。
 創業は1951年。コロッケを揚げるために開発したフライヤーが大ヒットし、企業の基礎を築いた。当初から業務用厨房機器のメンテナンスの重要性に着目し、全国に営業所を設けてメンテナンス体制の充実を図っており、このことがとくに外食業界のユーザーからの信頼を得ている。近年は機器の提供にとどまらず、質の高い料理をつくるための機器の使い方のサポートにも力を入れている。
 創業以来、代理店販売制度は採り入れず、自社販売と自社によるアフターサービスを行なうというビジネススタイルを堅持しているのも同社の特色だ。

外食産業の未来を占う 産業を支えてきたビジネスサポーターたち
フライヤーからスタートし、厨房で求められる
あらゆるニーズに応える幅広い機器を提供

北沢産業㈱

代表取締役社長
尾崎光行

アフターサービスを重視する姿勢は創業以来一貫しています
──今年、創業60周年を迎えられましたが、創業時にはまず何を手がけられたのですか。

 当社が最初に手がけたのはコロッケを揚げるフライヤーです。それ以前、精肉店では大鍋を使い、ガスバーナーでコロッケを揚げていたのですが、温度コントロールが難しいし、パン粉が鍋底に落ちて焦げ、コロッケに色がつくなどの問題がありました。創業者の北沢一郎は終戦後、米軍関係でアメリカ製のフライヤーを目にし、これを日本でも使えないかと考えたのですね。
 しかし、アメリカのものをそのままでは使えません。いかにすれば日本の食文化で使えるかを研究し、開発したガスフライヤーが最初の製品でした。

──そのフライヤーは従来の揚げもののつくり方を一変させる、革命的な商品だったわけですね。

 そうですね。ですから非常によく売れたと聞いています。つくれば売れる、という時代だったそうです。
 スタートが精肉店向けだったのでその後、肉切り機、対面ショーケースなどを開発し、1969年には業務用冷蔵庫を手がけました。冷蔵庫はずいぶん売れました。その後、参入企業が増えたこともあり、冷蔵庫からは撤退しましたが。

──常に顧客が求めているものを開発してこられた。

 創業者の方針で、現在も守っていることが2つあります。1つはアフターサービスをしっかりとやることです。当社は早い時期に、全国50ヵ所に直営の営業所を設けました。当社が扱うのは業務用の機器ですから、必ず修理が必要になる。その時にきちんと対応しなければだめだと創業者が考えたからです。
 この考え方は現在もまったく変わっていません。修理の依頼等はコールセンターで24時間365日受け付けていますし、緊急修理の場合は夜中でも対応することがあります。

──アフターサービスの重視も、顧客との信頼関係の構築には欠かせないものだったのですね。

 もう1つ、創業者の方針だったのが直販主義です。代理店を通した販売はしない、直販と代理店販売は両立しない、というのが創業者の考え方でした。自分たちで売ったものを自分たちで修理する。この方針も創業から変わっていません。

──代理店販売によって、販売量を増やすという考え方もあるかと思いますが。

 確かにそういう考え方もあります。直販ですから、自分たちの販売できる量しか生産できません。代理店販売を採り入れていれば企業規模はいまよりも早く大きくなったでしょう。
しかし、お客さまに最適なものを自分たちで売って、アフターサービスも自分たちで行なう、というのがわれわれのやり方。規模の拡大よりもお客さまの満足度を追いかけるスタンスを貫いてきたわけです。
 今後もこの方針を守ることが、安定したビジネスにつながるのではないかと思っています。

──ユーザーと直接つながっているからこそ、できる製品開発もあるのではないでしょうか。

 そうですね。この機能とこの機能を合わせたものをつくってほしいというようなカスタマイズは、可能な限り行なっています。
 現在は自社製品および海外の製品も含めた幅広いラインアップの厨房機器を扱っていますが、当社の機器に対する基本的な考え方は、日本にないものは自分たちでつくる、海外にすでにあるものはそれを日本に持ってくるということです。決して海外のものの真似はしない。この考え方も創業以来一貫しています。

──フライヤーは前者ですね。

 そうです。茹で麺機なども海外にないからつくりました。一方でコーヒーマシンやスチームコンベクションオーブンなどは海外のものを販売しています。ただし、海外のものをまったくそのまま持ってきても日本で使えない場合があります。スチコンで一番困ったのは、そのままでは焼き魚がうまく焼けないことでした。
 欧米では日本のような焼き色をつけた焼き方はしませんからね。ヨーロッパでは焼き上がった時に生きているように焼くんですよ(笑)。その点は日本のニーズに合うように変えてもらいました。

──外食業をサポートしていくにあたって、何がもっとも重要だとお考えですか。

 お客さまとの信頼関係を構築することだと思います。機器のクオリティを高めることはもちろん大事ですが、厨房機器というのはローテクなのです。絶対自社にしかできない、という機器はなかなかつくれません。そこで差別化できるのは、営業マンとお客さまの信頼関係ではないかと思っています。ですからアフターサービスに関してはさらにブラッシュアップしていこうと思っています。
 機器の機能面で言えば、操作が簡単でおいしい料理がつくれるものをお客さまに提供することです。チェーン店であっても個店であっても、おいしいものを出したいという思いは共通ですから。
 今後は業務用厨房機器のユーザーの世界も二つに分かれるのではないでしょうか。一つは機器のクオリティを重視する層。もう一つは価格優先で中古商品でもいい、という層です。当社としましては、前者のユーザーに対し、ハードのみならずソフト面でもサポートし、顧客満足度をより高めた販売方法を行なっていく所存です。

──外食業のこれからについてどうお考えですか。

 これから定年を迎える団塊の世代にはある程度の購買力が期待できます。そうなると日常食で、おいしいものを求める層が増えるのではないでしょうか。もちろんべらぼうに高いものではなくて、です。きちんとした価値のあるものを価値のわかる人に提供する店が増えるのではないでしょうか。
 
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