DATA
北日本カコー㈱
石川県金沢市増泉5-10-47
☎076-244-2011
設立:1971年2月
資本金:2000万円
事業内容:回転ずし用コンベア、食器洗浄機、鮮度管理システム等の開発、製造、販売
http://k-kakoh.co.jp/
石川県金沢市増泉5-10-47
☎076-244-2011
設立:1971年2月
資本金:2000万円
事業内容:回転ずし用コンベア、食器洗浄機、鮮度管理システム等の開発、製造、販売
http://k-kakoh.co.jp/
回転ずし用コンベアの製造・販売で圧倒的なシェアを誇るトップメーカー。1971年の会社設立以来、常に先進的な機器を開発し、回転ずし市場の拡大に貢献してきた。74年に実用新案特許登録された「自動給茶装置付寿司コンベア機」をはじめ、同社が開発した機器には、その後の回転ずしの経営スタイルを決定づけた画期的なものが多い。また、IDタグによる情報管理を活用した鮮度管理システム、皿の枚数を自動的に読み取るハンディターミナル「OAISO」など、現場のニーズを熟知する同社ならではの製品を数多く生み出している。
主力のコンベアは、営業本部に隣接した石川県白山市の工場で一括製造。1店1店、ユーザーの図面をもとに製造するため月産30台前後のペースだが、「コンベアはレイアウトの肝であると同時に店の顔。その店にとって最適な効率を実現しなければならない」(石野社長)という考えから、ハンドメイドに近いこの製造法を貫いている。
回転ずしコンベアのトップメーカーとして
業態の進化を支え市場拡大に貢献
業態の進化を支え市場拡大に貢献
北日本カコー㈱
代表取締役社長
石野晴紀氏
日本で回転ずしが誕生して50年以上になりますが、おっしゃる通りこの間、回転ずしは進化しさまざまな店のスタイルが生まれてきました。そのことが、お客さまから回転ずしが飽きられることなくやってこれた最大の要因だと思います。
そこで、われわれが心がけてきたことは、お客さまに飽きがこないように設備メーカーの立場から、新しいものを常に提案していくということです。
──お好み注文品をいち早く届ける特急レーンや、タッチパネル式の注文端末などがそうですね。そういう新しい提案は常に、お客から見ると使い勝手の向上につながってきた。
ヒントは常に、お店にあるんです。お客さまは何を求めているか、お店のオーナーさんはどういう問題を抱えているか。それを掴むために、われわれも店に足を運んできました。
そもそもコンベア自体、いわゆる既製品ではありませんからね。私は、自分たちの仕事は「鉄の大工」だと言ってるんですが、お店の図面をいただいて、それをもとに1台1台つくっていくんです。完成したら工場で組み立てて、稼働することを確認してから一旦ばらし、店舗に運んで再度組み立てる。コンベアの形状こそ同じでも、細かい部分は店ごとに違うんですね。常に現場から発想していくというのは、われわれの商売の基本でもあるのです。
──回転ずしにとってコンベアは、単なる設備を超えた存在ですからね。どういうコンベアを導入するかで、店のコンセプトが決まってしまう。
おっしゃる通りで、われわれの提案のポイントもそこにあります。ここにきてグルメ系回転ずしを中心に導入が増えているのは、職人が中に入るループ型のコンベアに、100円均一業態に多いE型コンベアを組み合わせたタイプ。職人が醸し出す活気と手握りによる付加価値を提供しつつ、店舗の大型化にも対応できるもので、特急レーンも備えています。われわれはこれを“ハイブリッド型”と名づけています。
──高付加価値化と効率化の両立。まさにハイブリッドですね。
これもまた、発想のスタートはオーナーさんのニーズです。職人を擁するメリットを生かしながら、客席数増を図りたいということですね。他にも、会計を効率化したいというお客さまの声に応えて、皿の枚数を自動で読み取るハンディターミナルを開発しました。一方で、メンテナンスがしやすく衛生的な「チェーンレスコンベア」など、こちらから提案したものもあります。いずれにせよ、オーナーさんとの対話を新しい製品開発に結び付けていくというのが、われわれのスタンスなんです。
──逆に、常に現場のニーズから発想していかないと、設備機器の進化も止まってしまうと。
その通りです。たとえば皿の洗浄機にしても、かつては1時間600枚の洗浄能力だったものが、いまは3倍の1800枚です。店舗が大型化し、1店で3000枚くらい使うのが当り前ですから、洗浄機もそれに合わせて進化しないといけない。
同様に、皿のバッシングも人手だけではやっていけなくなります。ですから、コンベアの下部に下げた皿を運ぶ装置を付けたタイプも開発しています。これなどはお客さまの目に触れることのない部分ですが、回転ずしの運営を陰で支える設備として機能しています。
──おいしさはもちろん、安全・安心の実現など、お客が外食に求めるものは年々高度になっています。
そのことにも、設備メーカーとしてきちんと対応していく必要があります。
たとえば近年、環境対策の一環として外食では「リサイクル箸」の導入が進んでいます。回転ずしでも同様ですが、この箸を洗浄する機械を開発しました。洗浄機の中で箸を1本1本ていねいに洗う機能を持っていて、1時間に1000本の洗浄能力があります。箸は直接、お客さまの口に触れるもの。高い衛生基準を保たなければならないし、そのことが長い目で見て、店の競争力につながっていくはずです。そういう視点に立って開発しました。
──東日本大震災の影響もあり、今後は省エネも重要なテーマになりそうですが、これについては。
コンベアをはじめ設備機器は、かつてと比べて消費電力はかなり低くなっています。そうした省エネ化は今後も継続していきますが、新しい取組みとしてはコンベア内部に付ける照明のLED化ですね。発熱量が少ないので、ネタの乾きも抑えられます。従来のLEDは青白い光なのでネタの発色が悪かったのですが、その点も改善されました。今年に入って開発されたもので、これから順次導入が進んでいくと思います。
──お客の目に見える部分、見えない部分双方でのハードの進化が、回転ずしという業態の進化を支えてきたことがよくわかりました。今後も業界に向けて新しい提案をしていただけることを期待しています。
ありがとうございます。われわれの使命は、お客さまから「回転ずしは飽きた」と言われないよう、常に新しい提案をしていくこと。それによって回転ずしという業態を活性化していくことです。これは今後も、まったく変わることはありません。
考えてみれば10年前、20年前にも「回転ずしの市場は飽和状態」と言われたものです。しかし、そのつど新しい店のスタイルが生まれることで壁を乗り越え、市場はさらに拡大してきました。
そういう点で回転ずしは、日本の外食市場全体で見ても稀有な存在といえます。その業態とともに歩んできたことを誇りとしながら、今後も取り組んでいきます。