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INTERVIEW

DATA

鈴茂器工㈱
東京都練馬区豊玉北2-23-2
☎03-3993-1371
創業:1955年4月
資本金:5億7120万円
事業内容:寿司ロボットおよび米飯加工ロボット、自動包装機械、食品加工機械、食品資材等の製造販売など
http://www.suzumo.co.jp

 1981年、機械ですしを握る、世界で初めての寿司ロボットを開発した。現在では寿司ロボットは回転ずし店をはじめ、デパートやスーパーのテイクアウトずし、宅配ずしなどさまざまな場面で活用されている。人件費削減と商品クオリティの安定につながる寿司ロボットの登場はすしの大衆化が進む原動力となった。
 同社は寿司ロボット以外に包装寿司ロボット、海苔巻きロボット、いなり寿司ロボット、寿司・おむすび兼用お櫃型ロボット、ごはんを皿や丼に自動的に盛りつけるシャリ弁ロボなど、すしを中心にした多彩なロボットを開発。それまでになかった画期的な機器を開発し、外食業を常にサポートしている。また、店舗用の機器とともに、食品工場向けの大型機器の開発製造も行なっている。
 2003年にはジャスダック市場に上場。日本国内にとどまらず、米飯主食文化を世界に広げることを目標に、海外でも積極的な市場開拓に挑戦している。

外食産業の未来を占う 産業を支えてきたビジネスサポーターたち
寿司ロボットを世界で初めて開発し
高級料理だったすしの大衆化に多大な貢献

鈴茂器工㈱

代表取締役社長
小根田育冶

米飯主食文化を世界に広めたい。それが日本のコメづくりを守ることになる
──御社の寿司ロボットは日本のすし業界に大きな変化をもたらしました。すしがどこでも手軽に食べられるようになったのは寿司ロボットのおかげと言ってもいいと思います。

 われわれが寿司ロボットを世界で初めて開発したのは1981年です。それ以前は製菓機械を手がけていましたが、新たな分野への挑戦を模索して、コメに着目しました。当時はコメの消費が減って、減反政策が進んでいました。日本の伝統であり、誇りであるコメの生産がこのまま減っていいはずがない。それにはコメの消費を拡大するしかないと考え、すしの大衆化を思い立ちました。

──当時すでに回転ずしや均一価格ずしは登場していましたが、まだまだすしは高級料理だった時代ですね。

 高嶺の花のすしを低価格で提供するために、すし職人の代わりにすしを握る寿司ロボットを開発すればいいのではないか。開発は簡単ではありませんでしたし、無理だと言われました。しかし、5年かかってついに完成しました。
 ところがすし業界では認めてもらえない。機械で握ったものはすしとは呼べないと言われました。ならば直接消費者にアピールしようと、デパートの催事に寿司ロボットを持ち込んでお客さまに食べていただいた。そこでおいしいと言っていただき、それをきっかけに寿司ロボットが認知されていきました。

──寿司ロボットがもっとも力を発揮しているのは回転ずしではないでしょうか。導入で人件費が下がったぶん、より低価格で提供できるようになって大人気となり、現在に至っています。

 われわれはすしを大衆化したいと考えましたが、これは回転ずし業界の方々の考え方と同じでした。おいしいものを低価格で出すという方向の最終的な形がいまの100円ずしだと思います。機械化による人件費の削減がなければ、あの値段であれだけの価値のあるすしを提供することは不可能でしょう。
 もうひとつ、機械化したことでスーパーマーケットやデパ地下など、どこでもすしを製造販売できるようになりました。さらに宅配ずしも、寿司ロボットがなければ成立しなかったものだと思います。

──すしの大衆化という点で、寿司ロボットの貢献は計り知れないものがあります。

 確かに、当初の予想以上に広がっています。すしは本当に日常の食べ物になりました。好きなときに好きなように食べられる。それをもっと突き詰めたのが、一個ずつ包装した包装寿司です。ショーケースに並べて、好きなものを好きな数だけ買えるようにした。これも大変なヒットとなりましたが、あまりにも手軽に製造できるために商品管理が行き届かないケースが出て、お客さまが離れてしまいました。
 しかし、この売り方はお客さまに求められていますし、さらに高齢化社会の到来で、少量食べたいというニーズが増えています。そこで近年、包装寿司の機械の販売に再度、力を注いでいます。きちんと商品管理をできる店であれば、包装寿司は絶対に売れる商品だと思いますよ。実際に、18年くらい前から質の高い商品を出し続けて、長い間人気店となっているところがありますから。

──寿司ロボットはほぼ完成の域に達したとみていいですか。

 開発当初と比べると半分の大きさで、3倍の製造能力となりました。シャリを握るということでは究極に近いところまできていますが、まだまだ進化させる余地はあると思います。
 たとえば業態に応じた使い勝手の良さの追求です。いまは回転ずしでもテイクアウトでも同じ機械を使っていますが、それぞれに合ったものをつくれないか考えています。
 また掃除のしやすさを考え、この間、使用後に洗う必要のある部品の点数を減らしてきましたが、さらに減らせないか研究しています。お使いの方の立場に立てば、掃除のしやすさは非常に大きなことですから。

──ライスバーガーも御社の機器を活用して生まれた商品です。コメの新しい食べ方となりました。

 パンをライスに替えたことで、まったく違う商品ができました。最近は東南アジアでもライスバーガーが人気なんですよ。ライスの間にはその地域で売れるものを挟めばいいのですから、いくらでも可能性はある。言うまでもなく、すしは世界中で人気のある日本を代表する料理ですが、私はライスバーガーも世界に普及すると思っています。
 われわれはコメの消費拡大をテーマとしてきましたが、それには国内だけでなく世界に米飯主食文化を広めたい。そのためには国内のコメの生産コストを引き下げ、海外に売れるようにしなければなりませんね。
 5年前にアメリカに子会社をつくりました。そこで商品開発をし、アメリカ発で世界に展開しよう、という思いでやっています。

──1人前のごはんを皿やどんぶりに盛りつける、シャリ弁ロボという商品がありますが、今後伸びそうですね。

 これも寿司ロボットと同様、人件費の削減と均質な商品をつくることを目的に開発したものです。たとえば100g盛りつけると決まっていても、人間だとなかなか正確にはできません。病院給食は別として、一般の外食では人間が計る余裕はありません。とくにファストフードでは難しい。この機械を使えば、正確でしかもふんわりとおいしく盛りつけることができます。

──店にとってはロスがないというメリットもあります。お客にとってもおいしいごはんが食べられるのですから、これはうれしい機器ですね。

 コメを盛りつけるという作業が必要な店は非常に多いですから、市場は大きい。みなさんに使っていただけるよう、コストダウンや機能の充実にさらに努力していくつもりです。
 
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