Follow us!

Facebook Twitter

INTERVIEW

DATA

水野産業㈱
東京都文京区湯島3-1-3
☎03-3836-3001
創業:1948年8月
資本金:8450万円
事業内容:機能性のある包材の開発と物流を主体に外食産業に貢献すること
http://www.mizunosangyo.co.jp/

 1948年、東京・外神田で和・洋紙の販売を核事業として創業した水野産業㈱。ベーカリーの包装資材やクリーンキャップの販売を皮切りに、外食産業向けの包材・容器の開発でシェアを伸ばし、70年代にはファストフード業界の成長に乗って急成長を遂げた。
 現在は、割り箸などの消耗品類、グラス、陶磁器やカトラリー、厨房道具、医薬品まで、幅広いニーズに応える製品群をラインアップ。生産機能を持たない“ファブレス企業“として、営業と商品調達・開発に特化し、全国の物流ネットワークを生かして物流ソリューションまでを提案している。顧客はファストフード、居酒屋、カフェチェーン、鉄道や航空会社まであらゆる業種・業態におよんでいる。
 “便利屋”を自称する通り、きめ細かい提案営業とスピーディな対応には定評がある。営業所・物流センターなど国内11拠点を構え、07年の上海事務所開設に続き、11年5月には現地法人の開設も進め、国内外で外食企業を支える。

外食産業の未来を占う 産業を支えてきたビジネスサポーターたち
トータル・システム・サプライを掲げ
最適な包材を安定供給して外食を支える

水野産業㈱

代表取締役社長
水野啓次郎

“進化する便利屋”をめざし蓄積ノウハウと柔軟な発想で多方面からバックアップします
──御社の創業は1948年。これまで包材の販売を核事業として外食産業とともに併走し、業界からも絶大な信頼を得ています。

 わが社はこれまで、商品開発から物流まで、総合的に提案する「トータル・システム・サプライ」をコンセプトに掲げてきました。現在では包材をはじめとする消耗品はもとより、什器や厨房機器、食品関連まで、外食産業が必要とするアイテムを網羅しています。国内外に調達網を広げているので価格競争力があることに加えて、ワンストップショッピングができるという点も大きな強みであると考えています。

──創業から60年以上が経ちますが、昨今の外食業界の動向をどう捉えていますか。

 外食産業の成熟化と競争の激化、そしてロープライス化の波は肌で感じますね。「とにかくコストダウンを」という時流に対応すべく、ローコストオペレーションの実現に力を注いでいます。

──具体的にはどういった策を打ち出していますか。

 大量発注・配送を行なえば商品単価は下がりますが、お客さまのスペースコストを考慮すると、必ずしもそれがよい選択とは限りません。ですから、わが社では約1万アイテムにおよぶ商品群を生かして、多品種・小ロットの発注に対応できる仕組みを構築しているわけです。

──ピッキング作業なども含め、配送コストのほうが高くなるケースも生じるのではないでしょうか。

 確かに爪楊枝、紙ナプキンといった少額な商品もありますが、どんな小さな商品に関しても、お客さまに最適な条件でお届けするのがわが社の信条です。
 そこで若手社員が中心となって、アイデアを絞るわけです。たとえば食材卸売会社に働きかけて、共同配送、つまり、コラボレーションすることで運賃を抑えたりします。「進化する便利屋」を自称する通り、どんな要望にも応える柔軟さこそがわが社の武器なのです。

──御社は生産設備を擁しない、いわゆる“ファブレス企業”ですが、その理由をお聞かせください。

 わが社はメーカー的な立場でありながら、工場を持たないスタンスを固持してきました。生産設備を導入すると、どうしても稼働率や生産性を優先することになり、お客さまへのきめ細かい対応が難しくなります。あくまで商品調達と販売に特化することで、フットワークと小回りの利いたサービスを提案していきたいと考えています。

──その実力を裏付ける、とくに印象的なエピソードはありますか。

 アメリカ同時多発テロの際、顧客である航空会社から「機内食用のステンレスのカトラリーがセキュリティ上、急遽使えなくなった」という連絡があり、代替品のオファーを受けました。
 そこで国内のテーマパークに提供しているプラスチックのカトラリーを手配し、その日の夕方には各空港に納品しましたね。こうした実績の積み重ねが、信用獲得へとつながってきたと自負しています。

──安全・安心面でもきめ細かい対応を行なっています。

 はい。実際に口に触れる商品が多いので、素材には細心の注意を払い、自社で安全性のテストも行なっています。紙の蛍光染料には発がん性のある物質が含まれる可能性もありますし、紙ナプキンのロゴなどの印刷に使用されるインキには食品衛生法に適合していないものもあります。わが社では、お客さまやメーカーの情報をもとに、安全性を検証し、安全を確認できたものだけを提案しています。

──環境問題についてはどのように取り組んでおられますか。

 常にアンテナを張って環境対策に取り組んでいます。この5月にドイツで開かれた「インターパック」(包装資材の国際展示会)を視察してきましたが、省エネ面で日本のメーカーは非常に進んでいると実感しました。ただ、実際に導入するには多角的な検証が必要と考えます。たとえばバイオプラスティックは実際に導入を検討しましたが、その原料はコーンやジャガイモなどの食糧です。包装資材にすることで絶対量が減り、食糧不足の国が飢えにあえぐという懸念もある。そうした側面も踏まえて、常に情報収集を行なっています。

──その他、サービス面で力を入れていることはありますか。

 衛生に対する危機管理意識の高まりから、お客さまへのサポートという形で、数年前から食品衛生検査のアウトソーシングを自社で行なっています。食中毒防止のための店舗衛生検査、従業員の方への講習会、また生鮮品を扱う業態の食品検査も実施しています。検査結果は当社のサーバーに保管し、いつでも閲覧いただけるシステムです。

──この数年で取引先の要望はどう変化していますか。

 海外進出を模索するお客さまが急増したことが大きいですね。それをサポートするためにわが社も上海に駐在事務所を構えました。けれども「情報だけではなく商品を供給してほしい」「現地でも日本国内同様の満足できるサービスがほしい」という要望が相次ぎ、今年5月に認可を得ました。

──新たな分野の顧客開拓も進めていらっしゃるのですか。

 はい。そのひとつが介護関連事業です。わが社の長年の経験を活かして多様なサポートを行なっています。

──その一方で、今後もお客さまのニーズを察知して外食企業をサポートしていかれるわけですね。

 ええ、まさに宝探しですね。わが社ではeコマースを行なっていますが、これがアンテナショップ的な役割を果たすこともあります。また、お客さまの情報を社内ネットワークで共有することで、全国の社員と新たなビジネスの創造につなげていきたいと考えています。
 
一覧に戻る