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INTERVIEW

DATA

㈱寺岡精工
東京都大田区久が原5-13-12
☎03-3752-9427
設立:1947年7月
資本金:1億円
事業内容:電子秤、自動計量包装機値付機、POSシステム、飲食店用統合システムの製造、販売
http://www.teraokaseiko.com/

 秤の製造から事業をスタートさせた寺岡精工は、常に先端的な技術を使った製品を世に送り出してきた。それは、一般消費者の目に触れることは少ないものの、ビジネスの根幹を支え業務効率の向上に貢献するものばかりである。たとえば1981年に発売した「自動計量包装値付機」は、小売業のバックヤードにおける作業を飛躍的に合理化し、生産性を大きくアップさせたものだ。また、84年発売のPOSシステム「SUPER-M3000」は、売上げデータから将来の販売を予測し、適正な発注を可能にする予測型POSというコンセプトを打ち出した画期的な製品だった。
 流通の分野において、売場からバックヤードまで業務をトータルに効率化する機器やシステムを提供するというのが、同社の基本姿勢。フードサービス統合システム「デリオス」は、そうした考えの表れだ。オーダー端末など消費者に直接、利便性を提供するものも含めて、同社のソリューションの幅は着実に広がっている。

外食産業の未来を占う 産業を支えてきたビジネスサポーターたち
情報システムを核に外食をサポート。
業務効率と顧客満足度の向上に貢献する

㈱寺岡精工

取締役 ホスピタリティ事業部 事業部長
三宅良昇

クラウドによって生まれるネットワークを、新しいソリューションに結びつけたい
──POSレジスターをはじめとして、外食および小売業の分野で業務効率向上に貢献するさまざまな機器を製品化している御社ですが、もともとは秤の製造からスタートしたとうかがっています。

 1928年に開発した「寺岡式敏感自動はかり」。これが当社の製品の原点です。秤といえば分銅を使った手動式が常識だった当時、物を乗せるだけで重量を計測でき、それをダイヤルで表示するこの製品は画期的なものでした。その後、秤と印字方式ラベルプリンターを組み合わせた製品を開発し、とくに小売店におけるバックヤード作業の生産性アップに大きく貢献しました。
 もうひとつの柱であるPOSレジスターにしても、販売時のデータを将来の発注に生かすというコンセプトで、業務の効率と正確性を高めることを主眼に開発されたものです。これも小売業の世界を大きく変えた製品と自負しています。

──かつては小売業を主たるターゲットとしていた御社が、外食産業向け製品に進出した狙いはどのようなものだったのですか。

 6年前、いま私が担当しているホスピタリティソリューション事業部を立ち上げたのですが、ここが外食産業向け製品開発の拠点となりました。このセクションは、私が社内ベンチャーでつくったデジジャパンという会社を発展させたもので、当社の製品とクラウドコンピューティングをセットにしたサービスを展開しよう、というのが狙いです。
 クラウドはご存知の通り、ソフトやデータを個々の機器で管理するのではなく、ネットワーク上で一元管理し、各機器で利用する形態です。これを活用することで、店舗ではデータ管理が容易になり、お客さまの使い勝手が向上する。そういうサービスを提供しようということです。

──具体的におっしゃいますと。

 たとえば券売機です。当社の「セラップ」という製品はタッチパネル式で、商品マスターなどのデータはすべてクラウドで一元管理します。既存の券売機は、どのボタンにどのメニューを割り当てるかといった作業を店舗で、個々の機器ごとにやっていたわけですが、その必要がありません。また、タッチパネル式なので操作性も高い。たとえばラーメン店で、あるメニューを選ぶと、次に「普通盛りか大盛り」を選ぶ画面が出て、さらに「追加トッピング」を選ぶ画面が出る、という具合です。

──それは便利ですね。ボタン式の券売機は、どのボタンが何のメニューかわかりにくくて、けっこうストレスがたまるものですし。

 その通りで、ストレスなく選べれば追加トッピングなどの利用も促進でき、無理なく客単価アップも実現できる。事実、導入していただいているラーメンチェーンでは、客単価が5~7%増という結果が出ています。また、ランチタイムには単品の売れ筋やセットをメインで表示し、ディナー帯にはサイドメニューを訴求する、といった画面の変更が自由にできます。クラウドを使うことで、それを本部側が一元管理できますから、チェーンレストランでメニュー政策を各店舗に徹底させたい場合にも効果を発揮します。

──そういうシステムを自前で用意しようとすれば、相当な投資が必要になりますね。クラウドの利用で、それが非常にローコストになると。

 そこが最大のポイントです。いい商品や業態を持っていてチェーン化したいという意欲もある、でも展開初期の段階で店舗数が少なく、投資余力もない。こういう方々にこそ、われわれのサービスを活用していただきたいと考えています。
 他社にない価値ある製品として、挙げさせていただくと、セルフオーダー用の端末「デリタッチ」は、ペンの形をした端末で、メニューブックに商品情報の入ったコードを印刷するかシールで貼り、それを読み取ることでオーダーが通るという仕組みです。タッチパネル式の端末を各テーブルに設ける形だと、あまりにメニューが多いと選びにくい。その点を解決すべく開発したものです。タッチパネルタイプのセルフオーダーに比べて導入コストも抑えられます。もちろんこれも、情報はクラウドで一元管理します。

──なるほど、クラウドというデータ管理の新しいシステムを活用することで、規模の小さい企業でも大企業なみの業務効率化が実現できるわけですね。

 いまお話しした券売機やセルフオーダー端末に、オーダーエントリーシステムやキッチンプリンターなどを組み合わせたフードサービス統合システム「デリオス」を、今後は積極的に提案していきたいと思っています。また、デリオスの中には、店舗の情報をデータセンターで蓄積・管理する本部業務レンタルサービス「デリオス・クラウド」もあります。在庫の把握や従業員の勤怠管理、店舗での経営課題の抽出などが、非常にローコストに実現できます。

──それもまた、間接コストの削減という点で大きなメリットですね。それによって、売れる商品づくりやサービスの強化に集中できる。

 おっしゃる通りです。そういうメリットを提供することで、これから外食ビジネスに取り組んでいこうという意欲ある経営者をバックアップすることが、われわれが実現したいソリューションなのです。
 当社の経営理念は「他でできないものをつくる」。そして、一貫してめざしてきたのは「新しい常識の創造」です。新しい技術や発想によって、それまで不可能と思われていたことを常識へと変えていくこと。それによって新しい価値を提供していくことが、当社の使命です。
 その実現に不可欠なのが、これも創業以来貫いている「現場主義」。現場で何が求められているかに常に耳を傾け、そこから発想する。今後もそれを実践しながら、外食をサポートしていきたいと思います。
 
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