Follow us!

Facebook Twitter

INTERVIEW

DATA

㈱ラショナル・ジャパン
東京都文京区後楽2-2-22
住友不動産飯田橋ビル2号館ウィング
☎03-3812-6212
創業:1992年8月
資本金:1000万円
事業内容:スチーム・コンベクション・オーブンのトップメーカーの日本拠点として、外食業界の進化に貢献すること
http://www.rational-online.com/JP_jp/

 ドイツ・ランツベルクに本社を置くラショナル社は1973年に創業。76年に世界で初めてスチコン(当時の名称は「ラショナル コンビ・スチーマー」)を開発して以来、専業メーカーとして成長の一途を辿ってきた。
 同社のスチコンは世界100ヵ国以上で使用されており、総販売台数は50万台以上、市場占有率は55%におよぶ。日本でも80年代から輸入代理店によって販売されていたが、92年に日本支社となるラショナル・ジャパンが設立されたことで、日本の外食マーケットに本格参入。厨房オペレーションの合理化・効率化の必然性が高まる中、04年に開発されたセルフクッキング・センターの登場でさらに注目が集まり、ホテルやレストランはもとより、病院や給食、スーパーマーケットやそうざい店まで、販路を拡大し続けている。また全国80ヵ所以上で、購入検討者を対象とする無料の調理実演会「チームクッキング・ライブ」を実施しており、昨年の参加者は延べ5000人にのぼる。

外食産業の未来を占う 産業を支えてきたビジネスサポーターたち
スチーム・コンベクション・オーブンの
リーディング企業として業界を牽引

㈱ラショナル・ジャパン

代表取締役社長
赤井 洋

製品を知り尽くした専業メーカーの強みを生かし最適な厨房環境を提供します
──いまや厨房のメイン機器となりつつあるスチーム・コンベクション・オーブン(以下、スチコン)ですが、ラショナル社はその生みの親であり、世界シェア55%を誇るトップ企業です。まずスチコン開発の経緯を教えてください。

 ドイツに創業したラショナル社が、世界初のスチコンを開発したのが1976年。従来のコンベクションオーブンの機能に加えて、スチームを発生させることで、焼く、炒める、揚げる、さらにパンやケーキの焼成まで、加熱調理の約8割が1台でこなせるようになりました。また創業者の目的であった料理の完成度の最大化に成功。あっという間に世界中に広がったのです。

──それをさらに進化させたのが、2004年に発売した「セルフクッキング・センター」ですね。

 初期のスチコンは素材の分量に合わせて温度、湿度、調理時間の設定が必要で、操作が複雑という声もありました。
 そこで、世界初の全自動システムを実現したセルフクッキング・センターを開発したのです。食材と希望する仕上がりのボタン操作だけで、投入した素材の分量や種類をセンサーが感知し、調理時間や温度を自動的に算出。新人のパート・アルバイトでも簡単に操作ができ、最適な仕上がりを実現します。

──まさに次世代型の加熱調理機器ですね。

 歴史の中で数々のすばらしい調理機器が登場してきましたが、火を使う調理に関しては原始時代と変わらず、仕上がり具合を監視するという作業が必要でした。忙しい料理人がこの作業からやっと解放され、かわりに商品開発や盛付けの工夫といったクリエイティブな作業に時間を割けるようになったのです。まさに外食業界の進歩を後押しした製品であると自負しています。

──すでに世界100ヵ国近くに販売網を広げておられます。

 そのためセルフクッキング・センターには世界約55言語のプログラムが搭載されています。言語モードを変えれば、たとえば日本人シェフとドイツ人シェフが同じマシンを共有できる。しかも、その言語圏の食材や食文化に合った設定に切り替わるのです。ここまでグローバル対応なマシンは、厨房機器以外でもまずないと思いますね。

──日本の外食業界は年々合理化・効率化が求められていますが、“同時調理”はそのニーズにまさに合致していますね。

 特許を取得したレベルコントロールという段ごとに管理できる機能によってまったく異なる料理の同時調理ができ、におい移りもありません。大量の同時調理が必要なホテルの朝食バイキングや宴会の調理場などでは一般的ですが、この機能をぜひ活用いただきたいと思う業態はたくさんありますよ。

──たとえばどのような業態が想定されますか。

 メニュー数の多い居酒屋チェーンなどは、かなりの合理化につながると考えます。低価格化によるコスト削減でやむなく冷凍食品を使ったり、商品力の維持に頭を悩ませたりする居酒屋は多いですよね。低価格で高品質なメニューを提供するため、機械に頼るのもひとつの手段。大半の居酒屋メニューはスチコンで調理できますし、オペレーションも格段に効率化します。私たちはメニュー開発もお手伝いしますので、商品の幅も広がるはずです。

──メニューのコンサルティングにも力を入れている、と。

 私たちはあらゆる業種業態に対してひとつの機械を販売しています。製品をとことん知り尽くしていますから、メニュー提案にも全力を注ぎ、お客さまとパートナーシップを築き上げてヒットメニューを生み出しています。

──省エネ面や、効率化によるコストダウンが可能な点も魅力ですね。

 スチコンは密閉された庫内で調理するのでエネルギー効率がよく、厨房内の空調も抑えられ、エネルギーコストは大幅にカットできます。また単一機能の厨房器具を揃える必要がないのでスペースコストも大幅に削減できます。

──人員数の限られた個人店にも適していますね。

 個人経営の居酒屋で、厨房機器はスチコンとコンロのみというお客さまもおられます。調理はほとんど店主1人で賄っていますが、焼き物、煮込み、炊飯まで、スチコンのフル活用で凝ったメニューをバラエティ豊かに取り揃え、行列ができるほど大繁盛していますよ。

──これまで外食業界を観察してこられて、飲食店が成功する条件はどこにあるとお考えですか。

 業種業態に関わらず、料理人もしくはオーナーが、常にチャレンジする気持ちを持つことが大切だと思います。先日、ある中華料理店に製品を導入いただきました。わずか17席の一見大衆的なお店ですが、限られたスペースと時間の中で「どこか違う」と思われる料理を提供したいという心意気を感じました。今後が非常に楽しみですね。

──御社の10年後、20年後のビジョンを教えてください。

 調理現場は狭くて暑くて当り前。料理人は汗をかいて仕事をし、火傷など日常茶飯事──そんな常識が日本には少なからずあると思います。しかしヨーロッパなどの厨房を視察しますと、室温は快適で、作業スペースも広く、機器に投資をしているので非常に仕事がしやすいのです。もちろん海外とは諸事情が異なるわけですが、このマルチなマシンによって、厨房は確実に変わります。厨房環境が快適になれば、外食業界を志す人材も増えると思うのです。
 私たちは小さな企業ですが、調理に関わる方々に「厨房で働いていてよかった」と言っていただきたい。そうした思いを抱きながら、一歩ずつ努力を重ねていきます。
 
一覧に戻る