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INTERVIEW

DATA

トーエイ工業㈱
東京都大田区多摩川2-18-4
☎03-3756-5011
創業:1963年12月
資本金:4500万円
事業内容:世界中の優れた厨房用機器を輸入し、日本の飲食店に適応したインストールとメンテナンスを行なうこと
http://www.toei-inc.co.jp/

 1963年、不二家がフランチャイズ展開をスタートした際、アイスクリーム用ショーケースのメンテナンス会社として創業したトーエイ工業㈱。以来、業務用厨房機器の輸入販売をスタートした。
 独自の基準で厳選したマシンを、日本の顧客に合わせてカスタマイズする技術力も評価を得て、圧倒的な信頼を獲得。82年にはヘニペニー社との代理店契約により、ファストフード業界への販路の開拓にも成功した。さらにリンカーン社のコンベアオーブンをいち早く輸入し、ファミリーレストラン業界にも大きな影響を与えている。
 こうした実績から、㈱バーガーキング・ジャパンの日本上陸時に承認機器のメンテナンスをすべて請け負うなど、同社が窓口となったことで日本に普及した業務用機器は多い。
 また全国にメンテナンスのできる代理店を布陣しており、きめ細かいフォロー体制を構築。チェーンから個人店まで幅広い顧客を獲得している。

外食産業の未来を占う 産業を支えてきたビジネスサポーターたち
業界の常識を常に塗り替えてきた
画期的な厨房マシンを日本に広く紹介

トーエイ工業㈱

代表取締役社長
畝岡洋子

優れた企業がつくる厨房機器は従業員のモチベーションさえ変える。それを伝えるのも私たちの使命です
──外食黎明期の1963年に創業以来、業務用厨房機器の輸入・販売のパイオニアとして、産業の発展とともに歩んできました。まずは創業時代を振り返っていただけますか。

 創業のきっかけは63年、㈱不二家がフランチャイズ展開を開始した時でした。日本ではまだ業務用機器の開発が遅れており、同社は米国からアイスクリーム用ショーケースを輸入されていたのです。当時、商社の技術者だった私の父がそのメンテナンスを引き受けることになり、独立して当社を設立したのです。

──その後は独自に輸入販売を進めておられます。

 2年後の65年にユニバーサル・ノーリン社と代理店契約を結び、業務用冷凍ショーケースの輸入販売をはじめました。ちょうど家庭用2ドア冷蔵庫が出回りはじめた頃で、大手乳業メーカー各社は、一家に1個のハードアイスクリーム販売をめざしていました。美しいケースにアイスクリームをコート缶に並べる販売スタイルを提案して大成功しました。アイスクリームの売り出しに意欲的だったメーカーと協力の成果です。

──現在のアイスクリームチェーンの原型ですね。

 続いて同社からリーチインショーケースを輸入し、黎明期のコンビニ業界に販路を広げました。その後は主力商品を熱機器に移し、導入したのが後に日本ケンタッキー・フライド・チキン(以下、KFC)さんの承認機器となるヘニペニー社のプレッシャーフライヤーです。

──御社の飛躍のきっかけとなった商品ですね。

 ええ、KFCさんに売り込んで採用していただいたことを機に、メンテナンス専門の代理店を全国に設立しました。当社としてはファストフード業界への参入を果たしたと同時に、KFCさんとの代理店契約を結んだ実績は、非常に大きな武器となりました。そして海外の外食チェーンが日本進出の際、厨房機器のメーカーがメンテナンスのできる輸入代理店として当社を指名してくださるようになったのです。

──その後もリンカーン社のコンベアオーブンなど先駆け的な厨房機器の普及に成功されています。どのマシンも、導入の際は日本向けにカスタマイズされていたのですか。

 もちろんです。厨房やバックヤードの広さが違いますし、導入先の業態やオペレーションによって使い勝手がまったく異なるからです。そのため当社の技術者がお客さまとメーカーの間に立ち、“日本仕様”の大幅なカスタマイズを行なってきました。それが日本の厨房機器の進化につながったと自負していますし、当社のカスタマイズが逆に本国で標準モデルとなった例もあります。技術共有という面でも、良い関係を築いてきたと思いますね。

──海外企業と良好なパートナーシップを築いていくうえで、企業選定の基準などはありますか。

 もちろんマシンの性能が優れていることがもっとも重要ですが、企業理念に共感できるオーナー企業であることも条件でした。ただ長い歴史の中で大手メーカーに成長したり、企業自体が様変わりしたりする例も少なくありません。共感できない面が出てきて、しばらく距離を置くこともあります。

──それだけ信頼関係が大切ということですね。

 はい。厨房機器は一度導入していただくと20年、30年に渡って使用します。そしてそのマシンが1台でも動き続けている限り、私たちはそのメンテナンスの責任のいっさいを負います。だからこそ、それを製造しているメーカーへの信頼性はもっとも大切なのです。メーカーと良好なコミュニケーションを築き、情報交換を重ねながら、もっとも良い形でお客さまにサービスを提供していけることを常に心掛けています。

──省エネや環境への配慮も重視しておられますか。

 優れたマシンを生み出している企業は概して環境への取組みにも熱心ですね。マシンの改善に加えて、社内の環境にも留意しておられます。エスプレッソマシンを輸入しているイタリア・シモネリ社は、工場内がすべて自然採光なんです。環境対策はもちろん、太陽光で働くほうがモチベーションも上がるというわけです。こうした企業の活動から学ぶことは多いし、一緒に仕事をして非常に心地よいです。

──そうした企業を発掘し、優れた機器を提供していくことで社会に貢献してきたわけですね。

 優れたマシンは働く人の疲労やストレスも軽減します。たとえば厨房温度を抑えるグリドルを導入された得意先では、スタッフの疲労が激減し、4交替から3交替制になったそうです。熱さはもとより、強い空調は人にも食材にも大きな負担をかけています。また前述したシモネリ社のエスプレッソマシンは、バリスタの疲労を軽減するため、人間工学に基づき7年かけて開発されたものです。屈む必要がなく操作がシンプルなので、「美しい姿勢で快適に作業が行なえる」とベテランのバリスタに驚かれます。そうした“気付き”を提案することも私たちの仕事と捉えています。

──日本の外食産業の将来像について、社長ご自身はどのようなイメージをお持ちですか。

 飲食店は、コミュニケーションの場としては最高のステージだと思っています。日本はともすれば回転率や収益性が重視されがちですが、海外、とくに欧州では、立ち飲みスペースであったりテラスであったり、コミュニケーションのための場所として利用されています。日本でもコミュニケーションの場として機能している業態が増えており、たいへん繁盛していますし、何よりそうした店はスタッフが快適に働いています。そうしたことがこれから外食業界に求められていくと思います。
 
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