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日本の伝統食品

塩とにがり
(石川県・珠洲)

黒潮の海を凝縮して作る、日本最古の揚浜式塩田の甘い塩と苦い汁

 かつてのん兵衛は、塩を肴(さかな)に酒を酌み、「甘い塩」という言葉も健在だった。
「甘い」には、旨いという気分がこもっている。そのままなめたらただ苦いにがりも、塩にバランスよく含まれると味わいを引き立てる。どこまでにがりを残すかが、甘い塩の決め手になる。
 戦後、専売の塩が、近代的な製塩方法であるイオン交換法で作る〝ほぼ塩化ナトリウム〟に変わって、甘い塩も忘れられていった。1998年(平成10年)に専売制が廃止され、昔ながらの塩が息を吹き返しつつあるのは、酒飲みならずとも喜ばしいこと。
 さまざまな塩が登場して選ぶのに悩むけれど、本来の製法に則(のっと)って作られた塩なら間違いない。
 石川県は奥能登の浜に、全国でただ1ヵ所、専売時代も生き延びてきた揚浜式塩田がある。海水を塩田にまき、天日で濃縮、薪の火で焚き詰める――。
 昔さながらの黒潮の甘い塩で、一杯やりたくなる。

◎お問い合わせ:角花豊
◎住所:石川県珠洲市仁江町
◎TEL:0768-87-2857

Text:Yukie Mutsuda Photo:Hiroshi Ohashi

濃縮した海水を夜通し薪の火で焚き詰める。空が白む頃、水分がとび、ようやく塩が見えてくる。大釜の塩を床場に揚げ、一昼夜置いて自然ににがりを落とす。

揚浜式塩田でいちばんの重労働は、「潮くみ」。岩に囲まれた磯で海水をくみ、木桶2個――ひと肩約80㎏を担いで、海から塩田へ運び上げる。

 

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