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日本の伝統食品

氷餅
(長野県・茅野)

とろりと煮たもち米糊が、氷点下で凍っては乾き、雅な滋養食になる

 藁をはずして新聞紙の包みを解くと、かさかさの白い麩のようなものが現れる。どんな味がするのか、どうやって食べるのか見当もつかない。
 氷餅(こおりもち)は江戸初期から諏訪盆地で作られている、天然凍結乾燥の乾物。藩政時代は旧暦6月、氷の朔日(ついたち)に山国から将軍家へ、毎年氷代わりに献上されていたという、暑気払いの滋養食である。
 蒸したもち米粉を煮溶かして糊状にして、氷点下の夜に凍らせる。からっ風にひと月ほど晒し干しした、いうなれば氷の抜け殻みたいなもの。ごく軽くもろく、指先にちょっと力を入れただけで、ほろほろ崩れて粉々になる。和菓子に散らせば、たちどころに雪景色の風情。熱湯を注げば、米の香りが立ちさらっとしたおもゆに。ほのかな米の甘みがあって、梅干とも相性がいい。和三盆糖を加えて、とろりと甘いおやつにもする。
 厳冬の冷え込みを待って、風変わりな氷餅作りがはじまる。

◎お問い合わせ:㈲不二屋(「初霜」)
◎住所:長野県諏訪郡下諏訪町友之町5515
◎TEL:0266-27-8505

Text:Yukie Mutsuda Photo:Hiroshi Ohashi

新聞紙に包み、藁ひもで編んだ短冊は、もち米糊の氷塊。これを溶かさずドリップさせず、水分だけ蒸発させて氷餅にする。

氷点下の田んぼで夜凍らせ、昼の陽光と冷たいからっ風で乾かす寒ざらし。雪が少なく冷込みの厳しい諏訪ならではの、伝統的フリーズドライ製法。

 

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