Follow us!

Facebook Twitter

KNOWLEDGE

検索ページに戻る

日本の伝統食品

かにみそ
(兵庫県・香美町)

ひと釜ざっと1880匹分
深海の冬の妙味をとろとろと炊きつめる

 冬の日本海は不機嫌が続く。
 晴れたかと思えば、霰が落ちてくる。波しぶきを吹き飛ばす烈風が、頬につきささる。けれど、荒海の底では、生きものたちがいよいよおいしくなる。
 深さ1000m以上の深海で獲れるベニズワイガニは、不思議なことに、生でも鮮やかな紅色をしている。高価なズワイガニなどと違って、その場で寿司ネタ用などに加工、出荷される。1月にカニで名高い兵庫県香住漁港を訪ねた。時化が続いて、ベニズワイガニ漁も6日ぶりだという。
 早朝、海に向いてずらりと軒をつらねた加工屋から、カニを蒸す湯気がほくほくあがり、おいしいにおいが漂ってくる。本命は白いむき身だが、気になるのは、みその行方だ。
「ひたすら、とろとろ炊くんやわ」
 何も足さない。ひとつまみの塩さえ使わない。そのあるがままの深い味わいは、真冬の漁師町の鮮度抜群の原料だからできる離れ業である。

◎お問い合わせ:小川商店(販売時期は10月~3月)
◎住所:兵庫県美方郡香美町香住区香住1541
◎TEL:0796-36-1036

Text:Yukie Mutsuda Photo:Hiroshi Ohashi

港に上がったばかりのベニズワイガニの殻をはずし、みそを集めて、 8〜10時間かけて、とろ火で炊き上げる。味つけはいっさいしない。厳冬の海の妙味。

紅色鮮やかなベニズワイガニ。1000m以上の深海に蟹籠をおろして、獲るのはオスガニだけ。籠の目は、小振りのメスが通り抜けられる大きさに作られている。

 

食の便利図鑑

日本の伝統食品を調べる
外食用語集
調理用語集
外食産業50年史