この項ではユズを筆頭に、果物として食味を云々するものではなく、料理に香りと彩りを添える香酸柑橘を取り上げる。


一般に流通しているのはスダチ（酸橘、酢橘、酢立）、カボス（香母酢）、ダイダイ（橙）だが、他にも、四国や九州、沖縄には香酸柑橘類はいろいろあり、築地市場でもシークワーサーやブシュカン、ヘベスといった名前がきかれる。

ユズは季節によって果皮の色が青ユズ、黄ユズに変わり、それぞれが商品となる。一方スダチとカボスは、黄色く熟してくると甘みがでてくるので料理用としてはあまり使わない。搾り汁と使う場合は、ユズよりもスダチやカボスのほうが酸味の点で勝っている。スダチとカボスは大きさだけでなく、香味が微妙に異なるので使い手の好みが分かれる。