福島の食を応援する「福けっちゃーの」、来年3月10日オープン
2013.12.26
去る 12月9日午後4時。ゴロ合わせで「いいふ(12)く(9)し(4)まの日」に、福島県郡山市で「復興レストランプロジェクト Fuku che cciano」記者会見が開かれた。会場となったのは、薄皮饅頭で知られる地元の老舗和菓子店「開成柏屋」(郡山市朝日1-13-5)。その駐車場の一画に、来年3月10日、福島の食を応援する新しいレストラン「Fuku che cciano(福けっちゃーの)」がオープンする。
店名には「福がくるよね」というニュアンスが込められている。これを手がけるのは、山形県鶴岡市「アル・ケッチァーノ」の奥田政行シェフ。福島にレストランを立ち上げる経緯をこう説明する。
「震災後、炊き出しなどで宮城、岩手の各地に行きましたが、今、震災復興に関しては、ほとんどすべての力を福島に向けています。郡山の日本調理技術専門学校(以下、日調)からもスタッフをたくさん雇いました。気持ちも技術も小さかった彼らも、『福島をいつか救えるようになりたい』と成長しています。そんな彼らとともに、福島の食を元気にするレストランを開きたいと土地を探していたところ、『柏屋』の本名善兵衛社長が、快く『この場所を貸そう』と言ってくださった時、『ここだ!』と思いました。建物は構えず、アメリカから取り寄せた大きなトレーラーハウス2台が店舗。ゆくゆくは移動も可能です」
料理は、郡山では数少ないフレンチをベースにした洋食で、それを支えるのが、郡山市の鈴木農場の鈴木光一さん(51歳)を中心とする「あおむしくらぶ」のメンバー30人が栽培する野菜だ。鈴木さんは野菜農家であり、種苗店も営み、シードアドバイザーの資格も持つ。「郡山は新しい町なので、山形のような在来種が見当たらない。ないならば、最新品種をブランド化しよう!」と、10年ほど前から地域の人たちの好みに合い、なおかつ栄養価が高い野菜を選び出し、毎年1品ずつ「郡山ブランド野菜」として世に送り出してきた。
記者会見に同席した鈴木さんは、「農産物は料理をしなければ食べていただけません。前々から素材を生かした料理を提唱してきた奥田さんに、われわれの方もいろんな農産物を提案しながらやっていきたい。震災以来、福島の農業はすごく大変な状況が続いています。次の世代に農業をつないでいくためにも、メンバーと一緒に頑張っていきたい」と話す。
「鈴木さんの野菜はとてもすばらしい。キメが細かくて、水がはじけるぐらいの抜群の保水量。誰もが今まで食べたことのない野菜だと思います」と奥田シェフ。
ほかにも、肉は福島県産。魚は原発事故の影響で地元産は使えないが、メヒカリやイカなど福島の人になじみ深いものを全国から集めて使う予定。「安心・安全を第一に考えて、店には放射性物質の測定器も置き、安全が確認できたら徐々に福島産を使っていきたい」と奥田シェフは言う。
復興レストラン「福けっちゃーの」で働くのは、福島県出身、県唯一の調理師学校・日調出身の若き料理人たちだ。今回、店長を任された横田真澄さん(22歳)は田村市、瀬戸航平さん(20歳)と齋藤光さん(20歳)は郡山市の出身。この2年間、奥田シェフのもとで料理はもちろん、畑を訪れて生産者の実情も学んできた。奥田シェフに「お前たちが福島を元気にしなさい」「学校の先生たちへ恩返しを忘れるな!」と激励され、記者会見の日を迎えたという。
奥田シェフと彼らがめざすのは、「福島のものは安全で安心だ、と誰もが認める日が来るまで、福島の生産者の方々がやめない体制を作る」こと。
また、この店では、日調の学生もスタッフとして働く予定。
「彼らが福けっちゃーので働いてお金をため、将来的にそのままトレーラーハウスを購入して独立する。福島で働いて、私の山形や東京、全国の店でも修業して、サケが母川に帰るように、福島に戻ってくる。そんな循環ができるうちに、福島にもスーパースターが現れ、福島を元気にする。そういうシステムを作っていきたいと思います」(奥田シェフ)
すでに2号店の出店も決まっている。福島市の「フルーツファームカトウ」の桃林に、2015年夏の開業予定で、加藤修一さんの「吟壌桃」をはじめとするフルーツを使った、タルトやパスタもお目見えする。
トレーラーハウスレストランには「動く」強みがある、と奥田シェフは話す。たとえば、郡山で2年営業したら会津やいわきへ移動する。そんなことも可能だ。
「今までの“待つ”飲食店から、自分たちを必要としているところへ移動していく。それがこれからのスタイルです」
「福けっちゃーの」は、ランチを日替わりで提供。980円、1500円、3000円(予定)。柏屋の和菓子をアレンジしたデザートがつく。ディナーは3000円、5000円、7000円のフルコース(予定)。トレーラーハウスといっても、31席の立派なレストラン。福島の未来をつくる若き料理人による「福けっちゃーの」は来年3月10日発進する。
URL:http://aomusiclub.jpn.org/(あおむしくらぶ)
店名には「福がくるよね」というニュアンスが込められている。これを手がけるのは、山形県鶴岡市「アル・ケッチァーノ」の奥田政行シェフ。福島にレストランを立ち上げる経緯をこう説明する。
「震災後、炊き出しなどで宮城、岩手の各地に行きましたが、今、震災復興に関しては、ほとんどすべての力を福島に向けています。郡山の日本調理技術専門学校(以下、日調)からもスタッフをたくさん雇いました。気持ちも技術も小さかった彼らも、『福島をいつか救えるようになりたい』と成長しています。そんな彼らとともに、福島の食を元気にするレストランを開きたいと土地を探していたところ、『柏屋』の本名善兵衛社長が、快く『この場所を貸そう』と言ってくださった時、『ここだ!』と思いました。建物は構えず、アメリカから取り寄せた大きなトレーラーハウス2台が店舗。ゆくゆくは移動も可能です」
料理は、郡山では数少ないフレンチをベースにした洋食で、それを支えるのが、郡山市の鈴木農場の鈴木光一さん(51歳)を中心とする「あおむしくらぶ」のメンバー30人が栽培する野菜だ。鈴木さんは野菜農家であり、種苗店も営み、シードアドバイザーの資格も持つ。「郡山は新しい町なので、山形のような在来種が見当たらない。ないならば、最新品種をブランド化しよう!」と、10年ほど前から地域の人たちの好みに合い、なおかつ栄養価が高い野菜を選び出し、毎年1品ずつ「郡山ブランド野菜」として世に送り出してきた。
記者会見に同席した鈴木さんは、「農産物は料理をしなければ食べていただけません。前々から素材を生かした料理を提唱してきた奥田さんに、われわれの方もいろんな農産物を提案しながらやっていきたい。震災以来、福島の農業はすごく大変な状況が続いています。次の世代に農業をつないでいくためにも、メンバーと一緒に頑張っていきたい」と話す。
「鈴木さんの野菜はとてもすばらしい。キメが細かくて、水がはじけるぐらいの抜群の保水量。誰もが今まで食べたことのない野菜だと思います」と奥田シェフ。
ほかにも、肉は福島県産。魚は原発事故の影響で地元産は使えないが、メヒカリやイカなど福島の人になじみ深いものを全国から集めて使う予定。「安心・安全を第一に考えて、店には放射性物質の測定器も置き、安全が確認できたら徐々に福島産を使っていきたい」と奥田シェフは言う。
復興レストラン「福けっちゃーの」で働くのは、福島県出身、県唯一の調理師学校・日調出身の若き料理人たちだ。今回、店長を任された横田真澄さん(22歳)は田村市、瀬戸航平さん(20歳)と齋藤光さん(20歳)は郡山市の出身。この2年間、奥田シェフのもとで料理はもちろん、畑を訪れて生産者の実情も学んできた。奥田シェフに「お前たちが福島を元気にしなさい」「学校の先生たちへ恩返しを忘れるな!」と激励され、記者会見の日を迎えたという。
奥田シェフと彼らがめざすのは、「福島のものは安全で安心だ、と誰もが認める日が来るまで、福島の生産者の方々がやめない体制を作る」こと。
また、この店では、日調の学生もスタッフとして働く予定。
「彼らが福けっちゃーので働いてお金をため、将来的にそのままトレーラーハウスを購入して独立する。福島で働いて、私の山形や東京、全国の店でも修業して、サケが母川に帰るように、福島に戻ってくる。そんな循環ができるうちに、福島にもスーパースターが現れ、福島を元気にする。そういうシステムを作っていきたいと思います」(奥田シェフ)
すでに2号店の出店も決まっている。福島市の「フルーツファームカトウ」の桃林に、2015年夏の開業予定で、加藤修一さんの「吟壌桃」をはじめとするフルーツを使った、タルトやパスタもお目見えする。
トレーラーハウスレストランには「動く」強みがある、と奥田シェフは話す。たとえば、郡山で2年営業したら会津やいわきへ移動する。そんなことも可能だ。
「今までの“待つ”飲食店から、自分たちを必要としているところへ移動していく。それがこれからのスタイルです」
「福けっちゃーの」は、ランチを日替わりで提供。980円、1500円、3000円(予定)。柏屋の和菓子をアレンジしたデザートがつく。ディナーは3000円、5000円、7000円のフルコース(予定)。トレーラーハウスといっても、31席の立派なレストラン。福島の未来をつくる若き料理人による「福けっちゃーの」は来年3月10日発進する。
URL:http://aomusiclub.jpn.org/(あおむしくらぶ)