漁港直送の魚介をCKに集約し“新鮮浜焼き”を提案
2005年に創業した㈱ブルーコーポレーション。当初は飲食店、フィットネスクラブ、エステサロンなどのプロデュースを手掛けていたが、2007年に外食業に参入し、直営1号店となる「漁港直送海鮮七輪焼き わい家堂山」をオープン。全国各地から仕入れた魚を七輪でセルフメイクするスタイルで、20代~40代の近隣オフィスワーカーを主客層に厚い支持を集めている。また「わい家」の“大衆”バージョンとして「漁港直送海鮮七輪焼き ワイヤ」を開発。こちらは産地直送の海鮮素材を300円均一で提供する均一価格業態だ。大阪府内で10店舗(うちフランチャイズ5店)を展開するヒット業態となっており、今後は「ワイヤ」ブランドを中心に積極的に出店を進めていく方針だ。
――300円均一を謳った「漁港直送海鮮七輪焼き ワイヤ」が絶好調です。お客さまの支持を集めている要因をどう分析していますか?
ワイヤの客単価は2500円前後なのですが、その価格帯で国産の産地直送の素材を提供できていることがストロングポイントだと思います。国産の魚介に関してはどうしても高級なイメージがあるのですが、だからこそより一層お客さまにはバリューを感じていただけているのではないでしょうか。我々としても、リーズナブルな価格で提供することによって国産の魚介が楽しめる場を増やすことで、日本の食文化に少しでも貢献していきたいと思っています。
――ワイヤの売れ筋メニューを教えてください。
「浜焼き」というカテゴリーが看板商品で、中でも活ホタテ、活ハマグリ、活オオアサリといった、お客さまがセルフメイクで焼き上げる貝類が売れ筋です。フードの売上げ構成比は、浜焼きカテゴリーで約4割、お造りと寿司で約3割、一品料理が約2割、デザートなどその他が約1割です。
――300円均一で提供するにあたっては仕入れ面でも多くの工夫があると思います。仕入れの方法や重視しているポイントなどを教えてください。
私自身がかつて漁師をしていた経験があり、当時の経験や人脈をベースにして少しずつ仕入れ先を拡大しています。仕入れに関しては私自らが各地の漁港に足を運び、漁師さんや現地の加工業者さん、仲買人さんなどと直接お話しし、「おいしい日本の魚を届けたい」という我々の想いを共有いただける方々と取引きを行なっています。また1つの魚種に対してなるべく複数の取引先を確保し、安定供給につなげるように心がけています。たとえば、弊社のホタテは青森産を使用していますが、昨年は著しい不漁に見舞われ、食材の確保に非常に苦労しました。今後、店数を拡大していくことを考えると、安定供給はますます重要なファクターになってくると思います。
300円という売価の規準があることに関しては、仕入れの面ではむしろプラスの部分が大きいのではないでしょうか。価格が後になるとどうしても甘えが出てしまうのは否めないと思います。決まった価格の中で、いかに企業として努力していくか。この点に関しては今後も大切にしていきたいですね。
――ヒットメニューを生み出すうえで重要な要素は何だと思いますか?
「産地直送の魚介」という弊社の強みが打ち出せる商品を充実させることだと思います。たとえば、お造りを例にとると、居酒屋のスタンダードは「1キレ10g×6キレ」が現在の居酒屋のスタンダードだと思います。それをワイヤでは1人前100gで提供することで、ボリュームの面でもお客さまにお値打ちを感じていただけるように工夫しています。また、浜焼きにしてもホタテなら2個、大アサリなら3個を1人前に設定し、素材の質・ボリュームの双方が商品の魅力となるようにしています。
――メニュー開発のプロセス方法を教えてください。
新メニューの開発は本部が主導で行ないます。随時、グループで調理コンクールを実施し、そこで評価が高かった商品の他、FCオーナーさんやスタッフからも意見をすくいあげながら新メニューの投入や絞り込みを実施しています。また、本部から各メーカーさんや現地生産者の方に声掛けし、つくりたい商品のイメージを伝えてそれに見合った食材や調味料、あるいは調理法などをご提案いただくこともありますね。魚介関係に関しては、大手のメーカーさんよりも各地の生産者さん、仲買人さん、水産業者さんなどに「こんな商品をつくりたいです」と素材面から相談を持ちかけることが多いですね。どの業者さんも我々のコンセプトや業態の特色などをご理解いただいているので、非常に心強いパートナーですね。
――とくに強化していきたいカテゴリーなどはありますか?
ちょうどこの4月にメニューの改訂を行なったのですが、寿司・天ぷらのカテゴリーを強化しました。寿司・天ぷらともに現在は各15品を取り揃えています。「ワイヤ」は“素材型”の業態ですし、浜焼きのようにネタ勝負のメニューが主力となっていますが、「産地直送の食材を提供すればいい」という店にはしたくないんです。干物や天ぷら、寿司などのカテゴリーを充実させることで、産直の魚介をバラエティあふれる楽しみ方で提案できる業態でありたいと考えています。
また、しっかりと食事を楽しめるメニュー構成にすることで、深夜帯における他の居酒屋との差別化を図っていきたいという理由もあります。また寿司に関しては郊外においてファミリー層の利用を取り込むポイントになると考えています。家族4人での利用を想定した際には、弊社での単価は6000円程度になりますが、その価格帯で新鮮な国産魚介を提供できれば、ファミリー需要も取り込めるのではないかと考えています。今後、FC店を中心に郊外への出店も検討しているので、寿司に関しては今後も継続的に強化していきたいですね。
――店舗オペレーションについてはどのようにお考えですか?
まず、従来から取り組んでいることはPB商品の活用です。浜焼きの割り下(ダシ醤油)やにんにくオイル、チリソースなどはPB化していますし、現在はデザートカテゴリーの「抹茶のシュートリュフ」のPB化に向けて開発を進めています。今後、FCでの出店を進めていくことを考えると、PB商品の使用によって店舗オペレーションを効率化することはメリットとなりますからね。
また、この4月からセントラルキッチン(CK)を本格稼働させたのですが、CKやPB商品を活用しての効率化はどんどん進めていきたいと考えています。ただ、CKに関しては、効率化はもちろんですが、まずは適切な管理によって商品クオリティをさらに向上させることが第一目標です。CK内には3メートル×2基の生け簀を設置し、各漁港から配送される魚介類はこちらに集約して、各店舗に小ロットで配送する仕組みを築いていきます。そして次の段階として、お造りをCKでカットすることをめざします。現在は産地で加工したものを店舗に納品していますが、CKでカットすることで鮮度をさらに向上させるのが狙いです。さらに将来的には一品料理もCKで加工し、店舗オペレーションを煩雑化させることなく、ワイヤならではの個性を発揮していければと考えています。
DATE
㈱ブルーコーポレーション
大阪府大阪市北区神山町6-4北川ビル4F
TEL:06-6809-3888
設立:2005年●月
資本金:1000万円
店舗数:13店(直営8店、FC5店)
年商:4億5000万円
従業員数:約50人
http://www.blueco.jp/
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